令和6年12月24日「愚陀佛庵の再建」について
更新日:2024年12月25日
※この動画は、松山市長記者会見の冒頭(市長説明)を掲載しています。
- 日時:令和6年12月24日(火曜日) 午前11時から
- 場所:本館3階第1会議室
- 記者数:15人
(http://www.city.matsuyama.ehime.jp/hodo/202412/kodomomannnaka.html)
議題
- 愚陀佛庵の再建についてについて
会見要旨
それでは本日の議題、愚陀佛庵の再建について説明します。松山市は令和8年夏のオープンを目指し、愚陀佛庵をゆかりのある番町地区で再建を考えています。
まず再建の趣旨です。松山市は全国に誇れる文学のまちです。夏目漱石の『坊っちやん』や司馬遼太郎の『坂の上の雲』の舞台でもあり、俳句の革新者である正岡子規をはじめ多くの俳人を輩出してきました。そうした文学的土壌をまちづくりにも生かし、これまで誰もが気軽にインターネットで投稿できる「俳句ポスト365」を開設するほか、俳都松山宣言や公約の一つで愚陀佛庵教育プログラムなどを実施してきました。
令和7年度は漱石が松山中学校に赴任し、また愚陀佛庵で子規と52日間、共同生活してから130周年、令和8年度は小説「坊っちやん」発表120周年の節目です。これを機に愚陀佛庵を再建し、新しい魅力と賑わいを創り出すとともに、未来を担う子どもたちが友情や人とのつながり、出会いの大切さを学び、松山への誇りや愛着を醸成してもらいたいと考えています。
次に施設の概要です。再建場所は番町小学校の東南の角、現在のプールのある場所で、面積はそのうち約480平方メートルを予定しています。愚陀佛庵は木造2階建てで、そのほかに事務所とトイレや展示と多目的スペースなどを備えた付帯施設と中庭を想定しています。完成時期は小説「坊っちやん」発表120周年の令和8年の夏ごろで、俳句甲子園の開催に合わせ、全国の高校生に訪れてもらいたいと考えています。当時に近い姿や佇まいを再現し、文学的、歴史的価値を引き継ぎながら憩いの場として気軽に立ち寄れ、広く親しまれる施設を目指します。
場所の選定理由は主に三つです。一つは、建設地とのゆかりです。番町小学校は子規をはじめ、柳原極堂や高浜虚子、河東碧梧桐など俳人たちの母校で、校内には子規旅立ちの像が建っています。また全国初の子規派の地方結社「松風会」の当初の会員は、番町小学校の前身、松山高等小学校教員たちでもあり、愚陀佛庵と深い縁があります。
二つは、周辺施設とのゆかりです。周辺には子規や碧梧桐の生誕地をはじめ、虚子の住居跡や漱石が赴任した松山中学校跡など近い範囲に松山の文化、俳句のルーツが詰まっており、番町小学校はその中心に位置しています。加えて52日間を共に過ごした俳聖 子規と文豪 漱石の二人と、日参した文学者たちとも深い縁があります。
三つは、中心部の賑わいへの期待です。句会や茶会などの文化活動や教育活動はもちろん、さまざまなイベントを開催し、集客力を高めます。その結果、まちの回遊性も高まり、新たな賑わいや地域経済への波及が期待できると考えています。
子規顕彰の第一人者で、小説「坊っちやん」を発表した俳句雑誌「ほととぎす」の創刊者でもある柳原極堂は、再建に強い思いを持っていました。子規の死後、世間から忘れられようとしていたことに危機感を持ち、子規の顕彰や遺跡の保護に尽力され、二人が同居した貴重な建物、愚陀佛庵の保存を提唱しました。また戦火で焼失した愚陀佛庵の再建に対し「復興の場所は、旧土地に執着せず、管理などの便宜上を考え合わせて、適当な土地へ変更することが上策」という言葉を残されています。極堂の視点からもこの場所での再建を考えました。
最後に活用策です。一つは、文学のまちのはじまりにふれるです。建物の外観や内装、中庭などで当時の姿やたたずまいを体感できます。壁の造作や高さを工夫し、訪れた人が空間に浸れるよう工夫したいと考えています。愚陀佛庵は1階、2階を解放して自由に見学でき、イベントなどでの貸し出しも行う予定です。
二つは、文学のまちを効果的に学ぶです。パネルなどの展示をはじめ街歩きガイドツアーなどを充実させるほか、中心部に点在する極堂や虚子、碧梧桐など周辺の人々の文学史跡や生家跡などとつないでいくために、例えばマップの展示やデジタルの活用など実際に行動につながる仕掛けを取り入れ「文学のまち」、また「俳都松山」の歴史や史跡を子どもから大人まで幅広い世代が効果的に学べるようにしていきます。さらに、まちがつながっていくため、一番町からの動線で路面や案内サインの整備や、東京の子規庵と漱石山房などとの連携も検討します。
三つは、文学のまちでの交流と発信です。句会や茶会などの文化活動、クラブ活動や校外学習など教育活動はもちろん、そのほかさまざまなイベントが行われ、日常的に人が交流できます。憩いの場として気軽に立ち寄れ、誰からも親しまれる空間として活用されるよう検討を進めていきます。
次に、こどもまんなか松山大賞の決定についてお知らせします。松山市は、子どもや子育て世代にやさしい社会づくりや、子どもたちが健やかで幸せに成長できるよう取り組んでいます。去年7月、六つの経済団体とこどもまんなか応援サポーターを宣言し、今年8月に新しく「こどもまんなか松山大賞」を創設しました。企業や団体が、子育て中の従業員や地域の子どもを支援する取り組みを募集し、24件の応募の中から有識者や子ども、若者、子育て当事者の意見も参考に、大賞1件と優秀賞2件を決定しました。
大賞は、社会福祉法人 松山紅梅会 梅本の里の「福祉施設をみんなの居場所に」の活動です。福祉施設を開放し、近くの幼稚園児や小学校、中学生の子どもたちが気軽に立ち寄れ、高齢者や障がいのある方も一緒に生き生きと過ごせるみんなの居場所をつくっています。今後、野菜の栽培なども手掛ける計画で、この先の広がりに期待しています。
優秀賞は2団体です。一つは石田クリーニング株式会社の「学生服のリユース活動」です。自社の強みを生かし、学生服のリユースを行い、その収益でNPOのこども食堂やフードドライブ、学習支援などの活動を支援されています。リユースに参加した人が子育て支援に貢献する仕組みで、活動の継続を支えています。もう一つは松山友の会の「親子の居場所 ゆめの木ひろば」です。児童館や図書館は月曜日が休館で行く場所が限られる、という保護者の方の声に応え、毎月、月曜日に開催されています。子どもたちの遊びや保護者がリフレッシュできるメニューを用意し、親子でほっとできる居場所を提供しています。
表彰式は来年1月10日(金曜日)午後2時30分からです。優れた活動を知ってもらい、市全体でこどもたちを育てる機運をさらに醸成するため、ご協力をお願いします。応募いただいた全ての活動は、11月にオープンした、こども・子育てサイト「にこっと」などで紹介していきます。
令和6年も残すところあと7日になりました。報道の皆さんには今年も1年お世話になりました。この1年を振り返ってみますと、国の重要文化財である道後温泉本館が7月11日、保存修理工事を開始してから約5年半ぶりに全館での営業を再開しました。工事中もさまざま取り組み、今月発表の観光経済新聞社2024年度「にっぽんの温泉100選」で過去最高の全国2位、じゃらん「全国人気温泉地ランキング2025」で2年連続、過去最高の3位と評価いただいています。合わせて子規記念博物館の常設展示を7年ぶりにリニューアルしたほか、東京ガールズコレクションを愛媛県と連携して四国で初めて開催し、経済効果は広告換算額を含め20億7,086万円でした。
また物価高騰の影響を緩和するため、プレミアム率25%付の商品券を発行し、キャッシュレス決済でポイントを還元しました。双方で35億円規模の消費効果を生み、市内の消費を強力に喚起しました。農業や介護のDX支援では、遠隔操作できる草刈り機と薬剤を散布するドローンの実証実験や、介護現場の負担を減らすためケアプランの作成支援ソフトや介護ロボットなどの体験会を開催しました。
一方、大雨で土砂崩れや浸水などの被害があり被災された方への支援と一日も早い復旧に取り組んできました。応急復旧工事は完了し、今後は本復旧工事などを行い、災害からの復旧と防災・減災対策を引き続き全力で推し進めます。また給水区域内で指定避難所の小学校と中学校で進めていた応急給水栓の整備は、10月までに対象の75校全てで完了しました。加えて四国最大の消防指令センターを松山圏域の3市2町が連携し、4月に運用を開始しました。複雑で多様化する災害に対応し、消防隊や救急隊がさらに早く出動できます。防災士の数は8月末、全国の市区町村で初めて1万人に達しました。防災士フォローアッププログラムなどを開始し、資格取得後もスキルアップして地域や企業の防災力をさらに高めています。今後も産官学民が連携し、小学生から高齢者まで切れ目なく、全国初の全世代型防災教育を推し進め、自助、共助、公助の三つの輪をしっかりとつなげていきます。
子育て支援では、病児・病後児保育施設をこれまでの中心部、南部、東部の3カ所から2カ所増やし、西部地区に三葉病児園を、北部地区に高木保育園Takagi AID+を新しく開設しました。環境を充実し、子育てと仕事の両立を支えます。
宝島社の「2024年版住みたい田舎ベストランキング」人口20万人以上の市 総合部門で、松山市は全国1位です。これからも松山市で暮らす人、働く人、訪れる人が笑顔で、幸せを実感できるまちづくりを進めます。
市民の皆さんには年末年始、インフルエンザや新型コロナウイルスの感染予防をお願いし、記者の皆さんも年末年始、何かとお忙しいかと存じますが、ご家族ともども、よい新春をお迎えください。
説明は以上です。
PDF形式のファイルを開くには、Adobe Acrobat Reader DC(旧Adobe Reader)が必要です。
お持ちでない方は、Adobe社から無償でダウンロードできます。
Adobe Acrobat Reader DCのダウンロードへ
お問い合わせ
秘書課
〒790-8571 愛媛県松山市二番町四丁目7-2 本館3階
