木造千手観音立像　1躯

愛媛県指定有形文化財（彫刻）

昭和55年3月21日　指定

松山市立岩米之野　高縄寺

　この立像は、像高147.3cm、台座高33cm、檜材の一木造で重量は50kgある。彫目、頭髪、合掌手、宝鉢手を含め一木で彫成し、髻(もとどり)の上に、2列10面の仏面を頂いている。耳朶環(じだかん)・三道・条帛(じょうはく)（肩にかけた衣）・天衣（腕にかけた衣）をかけ、合掌宝鉢以下、42臀(ひ)（腕）、両足をそろえて直立する。
　頭部の形、衣文(えもん)の形態、両膝前の二重の天衣や全体のプロポーションから地方色が顕著であり、製作は藤原時代とみられる。作者は不詳であるが、四国地方ではまれに見る仏像である。
　像は昭和53年(1978年)8月京都美術院で修理され持物を除いて原形に復し、当時の面影をよく残している。台座は二重蓮華座である。