木造阿弥陀如来立像　1躯

愛媛県指定有形文化財（彫刻）

昭和38年5月31日　指定

松山市高田　光徳院

　この阿弥陀如来立像は、光徳院の本尊で、像高157.5cm、檜材の一木造で、重さは75kgである。来迎引接(らいごういんじょう)の姿をとり大指、次指を捻り、右手を上に左手をやや前に伸ばしている。
　切れ長の目、力強く結んだ厚い口元などは神秘的であり、また両肩から胸の両側に流れる衣文は平行線状に流れ落ち、両股の豊かな肉づきを官能的にあらわしている。翻波式彫法を見事にこなした密教的な貞観風の手法で、平安時代も早いころの作と考えられる。
　光徳院は寺谷奥の谷にあり、密護山護持院神護寺と称した。嘉元元年（1303年）、後醍醐天皇勅願所として尊龍が再興し、地方祈祷の総本寺でもあった。聖観音菩薩立像・阿弥陀如来立像は、大永4年（1524年）の神途の戦いのとき、堂宇が全焼し、辛うじて搬出したと伝えられている。天和2年（1682年）、松平松山藩第4代藩主定直が、現在地に再興、その後、恵日山光徳院歓喜寺と改称した。
　阿弥陀如来像は国津比古命神社の本地仏として明治初年まで祭祀(さいし)されていたと伝えられている。