文教消防委員会『不登校支援について』

更新日:2026年2月5日

調査期間

令和6・7年度

テーマ選定の経緯

 近年、少子化が急激に進む一方で、何らかの心理的、情緒的、身体的あるいは社会的要因・背景により、登校しないあるいはしたくてもできない状況にある児童生徒は、増加の一途をたどっている。また、不登校の要因は多様化しており、学校での人間関係や学業不振、家庭環境のほか、無気力・不安といった心の健康に起因するケースも少なくない。全ての児童生徒が安心して教育を受けられるよう、個々の状況に応じた支援体制を一層充実させることが喫緊の社会課題である。
 不登校支援のニーズの高まりを受け、全国各地では、学校における環境整備はもとより、不登校児童生徒が行う多様な学習活動の実情を踏まえ、民間のフリースクール等との連携や、学びの多様化学校(いわゆる不登校特例校)、校内サポートルームの設置など、適切な教育機会を確保するための様々な取組が行われている。
 一方、経済的な理由で一部の教育機会への参加を諦めざるを得ない家庭があるという教育格差の問題や、支援する側の人手不足、保護者の離職や孤立など、課題も浮き彫りとなっている。
 そこで、こうした課題の解決に向けて、市内の不登校の現状を分析するとともに、必要な支援策を検討すべきと考え、当委員会の閉会中の調査研究テーマを「不登校支援について」と決定した。

市への主な提言事項

1 学校内や校内サポートルームに関する取組の充実

(1)校内サポートルームの充実に向けて
 当委員会で調査研究を始めた当初、本市の校内サポートルームは、令和3年度にモデル校に指定された中学校2校のみであったが、令和7年度から新たに市立中学校12校に設置されるなど、段階的に整備が進んでいる。これを踏まえ、今後は校内サポートルームのさらなる充実へ向けて、以下のことに取り組んでいただきたい。
 1.中学校に加え、小学校への校内サポートルーム設置に取り組むこと。また、教室とは異なる環境でも感情や社会性を育めるよう活動プログラムの充実を図ること。
 2.児童生徒が置かれた個々の状況によりニーズが異なることを踏まえ、個別学習や少人数での様々な活動に対応できる教室を確保するとともに、プライバシーに配慮した配置とすること。
 3.校内サポートルームを利用する児童生徒が、教室にいる者と同じ内容の授業を受けることを望む場合には、タブレット端末の活用により、オンラインでリアルタイムに授業を受けられるようにすること。
(2)支援員の充実に向けて
 校内サポートルームの安定的な運営に必要な人材の確保と専門性向上に向けた研修の定期的な実施により、質・量両面で支援員の充実に取り組むこと。また、スクールカウンセラーの増員やスクールソーシャルワーカーを配置するなど、児童生徒の休息と回復を温かく見守り、安心できる相談体制を拡充すること。
(3)学校全体での理解促進に向けて
 校内サポートルームを特別な場所ではなく「学びの選択肢の一つ」として児童生徒、保護者、教職員が共に理解を深め、誰もが安心して利用できる学びの場となるよう、周知啓発に取り組むこと。
(4)外部との連携に向けて
 1.校内サポートルーム担当者連絡会に外部有識者を参画させるなど、効果的な支援に向けた継続的な助言・協力体制の構築に努めること。
 2.精神面や発達に関する課題を抱える不登校児童生徒に対して、医師や臨床心理士の助言をもとに学校内で的確な配慮を行うなど、医療機関との連携によりきめ細かな支援の一層の充実を図ること。
 3.不登校児童生徒が抱える課題の中には、学校内での解決が困難なケースもあることに鑑み、児童相談所や発達支援センター、市の福祉部局をはじめ関係機関との連携を強化し、地域包括的な支援体制の構築に努めること。
(5)今後の安定運営に向けて
 校内サポートルームの活用状況や課題を早期に把握し、定期的に運営評価を行う仕組みをつくることで、支援の質を高めるとともに、次年度の設置や支援方針の決定に生かすこと。

2 フリースクールや不登校児童生徒の保護者などへの支援

(1)フリースクール等への支援
 フリースクール等は、不登校児童生徒が学習するだけでなく、課外活動を通して生活習慣を身につけるなど大切な居場所である。市は、フリースクール等の運営者との継続的な意見交換などを通して、必要な支援を検討すること。
(2)フリースクール等の利用者への支援
 フリースクール等の利用に当たっては、授業料や年会費等で保護者の負担が大きいことに加え、児童生徒に寄り添うために保護者が離職・休職を余儀なくされるケースや、家庭の経済的事情により利用を断念せざるを得ないケースもあるなど、金銭面が非常に大きな課題となっている。
 これらの現状を踏まえ、利用者の負担軽減や不登校児童生徒の教育機会確保の観点から、市独自の補助事業を早期に開始すること。その内容については、補助額を1人当たり月額1万円以上とし、所得制限は設けないこと。また、今後のさらなる拡充へ向けて、国に対して財政支援を要望するなど、財源確保に取り組むこと。
(3)情報発信の充実と保護者の意見反映
 不登校児童生徒の保護者が支援に関する必要な情報にアクセスしやすくするために、親の会やフリースクール等と連携し、分かりやすく伝わりやすい情報発信に努めること。また、保護者との意見交換を継続的に行うことで、支援ニーズを的確に把握し、保護者の声を施策に反映させるとともに、情報発信の方法を適宜見直すこと。 
(4)保護者に寄り添った相談支援体制の充実
 不登校児童生徒の保護者の孤独感や不安感といった心理的負担を軽減するため、些細なことでも安心して相談でき、また同じ境遇にある保護者同士が交流し悩みを共有できる機会や場所を確保すること。また、様々な機会を通して、例えば児童生徒のケアのために介護休業制度が利用できる場合があることなど、活用可能な既存の制度についても積極的に周知すること。
(5)不登校児童生徒の学びの保障
 フリースクール等やオンライン学習をはじめ多様な学びの選択肢が存在することを児童生徒や保護者に十分に伝えるとともに、それらの活動実績を学校と共有し、柔軟に出席として取り扱う運用にするなど、児童生徒の学びの機会を最大限保障すること。

3 長期的視点に立った新たな不登校を生まない環境づくり

(1)不登校の要因分析と効果的なアプローチの模索
 文部科学省が公表した調査結果によると、令和6年度の小・中学校の不登校児童生徒数は35万3,970人で過去最多を更新した。本市においても、小・中学校の不登校児童生徒数は増加傾向にあり、令和6年度で1,633人と、令和元年度の637人から約2.5倍となっている。また、その内訳を見ると、小学生の占める割合が年々大きくなっており、低年齢化が顕著である。長期的視点に立った対策により、これらの現状に歯止めをかけることが重要である。
 不登校の背景には、様々な事情が複雑に関係している場合があることから、学校、家庭、地域を問わず、幅広い視点を持って要因を分析するとともに、その要因を可能な限り取り除くための効果的なアプローチを模索するなど、新たな不登校を生まない環境整備に努めること。
(2)教員の多忙化の解消
 不登校の要因や背景としては、本人、家庭、学校における様々な要因が複雑に絡み合っている場合が多く、学校での支援体制を整備し、家庭への関わりや関係機関との連携協力による支援の充実を図ることが重要であるが、教員の多忙化により、きめ細かな支援が不足する状況もある。
 教員がゆとりを持って児童生徒一人ひとりに向き合える環境をつくることは、不登校支援の充実につながるだけでなく、新たな不登校を生まない、誰もが安心して学べる魅力ある学校づくりに寄与するものと考えられることから、教員の働き方改革を進めるなど、教員の多忙化を解消する様々な施策を検討すること。

お問い合わせ

市議会事務局

〒790-8571 愛媛県松山市二番町四丁目7-2 別館5階

電話:089-948-6652

E-mail:gikai@city.matsuyama.ehime.jp

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