産業経済委員会『ニューノーマル時代の経済の活性化について』

更新日:2022年2月9日

調査期間

令和2・3年度

テーマ選定の経緯

 コロナ禍は、地域経済に甚大な影響を及ぼし続けている一方で、コロナ禍以前からの課題であるデジタル化や働き方の変革を地方においても加速度的に進めている。

 2007年から10年間の累積で都道府県別GDPと1人当たりGDPは、東京、大阪、愛知が高いが、伸び率は、東京、大阪、愛知以外の地方の伸び率が比較的高く、地方にこそ経済成長の伸び代が存在している可能性を示唆しているとの国の見解も示されている。

 このようなことから、コロナ禍におけるデジタル化や働き方の変化を地域経済社会の変革の契機と捉え「生産性の向上」や「新しい製品やサービス、ビジネスモデル」による「稼ぐ力」を高めることが重要である。

 そこで、本市のコロナ禍における経済と雇用の現状と課題の検討をはじめ、コロナ禍での雇用や企業活動への対策や新たなデジタル社会への対応など、コロナ禍以降に企業や個人から選ばれる地域となるための研究課題として「ニューノーマル時代の経済の活性化について」を閉会中のテーマとし、調査研究を進めていくこととなった。

市への主な提言事項

雇用の活性化について

(1)テレワークの普及促進

 令和2年1月に国内で初めて新型コロナウイルスの感染が確認されて以来、国内でも感染が広がり、同年4月には東京都をはじめ7都府県で緊急事態宣言が出された後、全国を対象に宣言が拡大された。

 人との接触を減らすため、県内の企業でもウェブやテレビ会議、時差出勤、さらにテレワークが進んだ。令和2年8月の県内金融機関のシンクタンクの調査によるとコロナ禍前は、3.7%程度であったテレワークの実施率は、コロナ禍では、23.6%と急増している。

 ワクチン接種が進み、今後は、職場で働きコミュニケーションを図るとともに、テレワークや在宅で働くなどバランスをとった働き方が進むと思われる。そのような中、感染症の再拡大や災害等が発生した場合の事業の継続に備え、テレワークの普及を促進することが必要である。

 しかしながら、令和3年2月のシンクタンクの調査では、県内のテレワークの実施率は、全国平均の35.4%を下回る18.3%にとどまり、東京都の66.8%と比べ大きく差が出ている。

 そこで、次の事項について検討するよう提言する。

 ・市内企業へのテレワークの普及を促進すること

(2)多様な働き方と多様な人材の活躍の推進

 テレワークは、時間、場所の制約が少ないため、家事や育児、介護などを行いながら仕事と両立するなどの多様な働き方が可能である。多様な働き方は、多様な人材の活躍につながる。

 多様な働き方や多様な人材の活躍には、制度を整えることはもちろん従業員の理解など企業の文化・風土の改革や場所やツールなどの環境が必要である。

 また、テレワークやリモートワークの普及により、地方への関心が高まっている。

 令和3年6月の内閣府の第3回新型コロナウイルス感染症の影響下における生活意識・行動の変化に関する調査では、人口密度が低く自然豊かな環境に魅力を感じたことに続き、テレワークによって地方でも同様の仕事ができると感じたため、地方移住への関心が高まっているとの結果が出ている。

 職業選択については、副業を持った人や副業を検討し始めた人が増加している。そこで、兼業や副業を通して、ITなど先端技術を有する首都圏をはじめとした大都市圏の人材と市内の企業をマッチングすることで、中小企業の新たな事業の展開や人手不足にも対応することができる。

 また、テレワークやリモートワークにより、大都市圏の仕事を地方で行うことができるため、大都市圏等の人材を市内に呼び込むことが必要である。

 そこで、次の事項について検討するよう提言する。

 ・市内企業の多様な働き方を進めるため普及啓発を行うこと

 ・多様な働き方ができる場づくりを行うこと

 ・兼業・副業をはじめ業務による関係人口を増やすこと

 ・大都市圏等の人材の市内移住を促進すること

(3)若者や非正規雇用者の活躍

 前述の県内金融機関のシンクタンクの調査では、コロナ禍で県内の約7割の企業で悪影響が出ており、有効求人倍率も令和元年12月には松山管内で1.71倍であったが、感染が拡大した令和2年4月には、1.23倍まで急落し、今年8月は1.19倍と低水準で推移している。

 多くの業種で影響が出ているなか、特に、対面での営業を行う外食をはじめとした飲食業や宿泊・サービス業に深刻な影響が出ている。

 これらの業種は、非正規での雇用やアルバイトの若者の受け皿となっていることが多く、収入の減少や離職を余儀なくされるケースもみられる。一方で、急速に進むデジタル化のなかIT人材は不足するなど雇用のミスマッチが起こっている。そこで、IT業界やその他の業種への転職機会を創出するなど、若者や非正規雇用者の安定した雇用による活躍の場の提供が必要である。

 そこで、次の事項について検討するよう提言する。

 ・若者や非正規雇用者の安定雇用につながる支援を行うこと

企業活動の活性化について

(1)デジタル化の促進

 コロナ禍の長期化により、令和3年3月期の県内企業の業績は、約7割にも上る企業で前年の売上高を下回るなど大きな影響が出ている。本市も無利子・信用保証料なしの融資制度の創設をはじめ、個人事業主や創業3年以内の事業者への給付金、売上が減少した事業者に対する、応援金第1弾・第2弾などにより、中小企業等の事業の継続を後押ししてきた。

 本市をはじめ国や県などの支援の結果、令和2年度の市内の企業の倒産件数(※)は11件と、令和元年度の10件と比べ抑制することができた。

 一方、コロナ禍で、対面から、QRコードによるキャッシュレス決済やECなどデジタルツールを活用した消費活動へとシフトしている。

 また、企業活動を活性化するためには、本業での売り上げなど収入の増加はもちろん、業務の効率化などによる費用の圧縮が求められているが、公益財団法人日本生産性本部の2020年の調査では、2019年の時間当たりの労働生産性は、OECD加盟国37か国中、我が国は21位と低迷しており、労働生産性を向上させるための業務効率化には、デジタル技術は不可欠となる。

 令和2年10月の財務省の感染拡大で浮き彫りとなった企業の課題とその対応調査では、回答した半数以上の企業が、デジタル化・オンライン化への対応を課題としており、非対面ビジネスや業務効率化などデジタル化が必要となっている。

 そこで、次の事項について検討するよう提言する。

 ・市内企業のデジタル化について普及啓発すること

 ・市内企業のデジタル化について支援すること

 ※負債額1,000万円以上

(2)DX(デジタルトランスフォーメーション)への対応

 デジタル化の進展によりデータが蓄積される。そのデータを分析し、新たな製品やサービスを生み出すことのほか、異業種との連携などが進み、産業構造そのものが大きく変化していくことが予想される。

 このような変化について、総務省では、ICTの浸透が人々の生活のあらゆる面でより良い方向に変化させるDXが進みつつある時代にあるとされており、市内企業も間もなく対応を迫られることになると予想される。

 また、急速に進むデジタル化により、IT人材が不足すると言われており、 本市も新しい時代の流れに遅れることなく、市内企業に対しDXについての普及啓発をはじめ、DXを担っていく人材を育成していくことが必要となる。

 そこで、次の事項について検討するよう提言する。

 ・市内企業に向けてDXを普及啓発すること

 ・ITやDXについての人材を育成すること

お問い合わせ

市議会事務局

〒790-8571 愛媛県松山市二番町四丁目7-2 別館5階

電話:089-948-6652

E-mail:gikai@city.matsuyama.ehime.jp

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