環境企業委員会『プラスチック・スマートについて』
更新日:2024年2月6日
調査期間
令和4・5年度
テーマ選定の経緯
令和4年4月「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律」が施行され、プラスチック資源循環に向け地方自治体や事業者、消費者にも対応が求められている。この新法施行の背景の一つとして世界的な海洋プラスチックごみ問題があり、環境汚染や生態系への影響などが懸念されているところである。
しかしながら、プラスチック製品はその優れた利便性や経済性から様々な製品に幅広く使用されており、私たちはその恩恵を受けている。そのため、生活する上でプラスチックを完全に排除することはできないが、必要以上に使用せず、プラスチックとの賢い付き合い方を推進する、いわゆる「プラスチック・スマート」という考え方を広く浸透させることでプラスチックごみ問題に対応する必要がある。
そこで、本委員会では、「プラスチック・スマートについて」をテーマとし、様々な立場の方に向けた効果的な対応策について調査研究を行うこととした。
市への主な提言事項
1 川や海岸に漂着するプラスチックごみへの対策
現状として、川や海のごみには、プラスチックごみが多く含まれている。このような海洋汚染は、水産業や観光業にも深刻な影響を与えるものであり、海岸清掃やごみのポイ捨てへの対策が必要である。
今後、プラスチックごみを根本的に削減するためは、リデュースに力を入れ、ごみの発生を抑制していくことが重要であるが、同時に、現在あるプラスチックごみへの対応も求められる。
(1)ボランティア清掃への支援
川ごみや海岸に漂着する海ごみに対し、市民や漁業関係者、企業等によるボランティア清掃が活発に行われている。
このような活動を支援するため、ボランティアが集めたごみの回収に協力すること。
(2)ポイ捨て撲滅への取組
川や海に流れ着くプラスチックごみの約8割は、陸域から発生していると言われる。そのため、まちの中でのポイ捨てを撲滅するための取組を行うこと。
2 市民のライフスタイルの変容を促す啓発
プラスチックは、身近で便利なものとして生活の中に浸透している。あらゆる製品に使用されているが、不必要なプラスチックをなくし、リデュース・リユース・リサイクル、いわゆる3Rの推進を図るなど、ライフスタイルの見直しを呼び掛ける必要がある。
(1)生活の中でできるプラスチックごみ削減の啓発
シャンプーや洗剤などは詰め替え可能な商品を選択することや、過剰包装の辞退、マイバッグでレジ袋の削減、マイボトルでペットボトルの削減など、生活の中でできるプラスチックごみの削減を啓発すること。
(2)まつやまRe・再来館での啓発
本市の環境啓発拠点である「まつやまRe・再来館(りっくる)」を活用し、展示やイベントで幅広い年代へ啓発すること。
(3)自治体や企業等の取組情報の発信
松山市役所から率先してプラスチックごみの削減に向けた取組を行うことや、市内企業や学校などで行う先進的な取組を積極的に情報発信することで啓発につなげること。
3 環境教育の充実
プラスチックごみの現状や問題点を理解し、自発的な取組につなげていくため、数多く学びの機会を提供する必要がある。
また、子どもたちを中心として、若い世代に向けた環境教育を充実することで次世代に向けた持続可能な社会を構築する。
(1)海洋プラスチックごみの現状を知る学習機会の創出
海洋プラスチックごみが海洋汚染の要因となることや生態系への影響などについて正しく理解し、現状を知る学習機会を設けること。
(2)プラスチックのライフサイクル全体の学習機会の創出
廃棄物処理やリサイクルの分野で、拡大生産者責任制度(EPR)に基づき、原材料の選択、製造工程、使用、廃棄に至るまで、一連のライフサイクル全体について学ぶ機会を設けること。
(3)若い世代への環境学習の充実
子どもから社会に出るまで、体験型ワークショップなど、それぞれの成長に応じた内容で環境について学ぶ機会を設け、充実すること。
4 将来に向けた体制整備と多様な主体との連携
世界的な海洋プラスチックごみの問題を解決するため、市民、事業者、自治体など、幅広い主体が連携して取組を進めることが必要である。
そのため、問題の解決に向かって進める方向性を合せるため、指針を設けること。
(1)指針の設定
多様な主体がプラスチックごみの削減に向け、それぞれの役割や取組を進めるうえで、目標や方向性を合せることが必要であり、そのための指針を設けること。
(2)プラ新法への対応と事業者との連携
プラスチック資源循環促進法に基づき、製品プラスチックの分別収集・再商品化を進めることや、プラスチックの代替素材を使用した製品等の利用を促すため、市民へ広く紹介することで企業の価値を高めること。
(3)周辺市町との連携
生活圏域が近い松山圏域の3市3町が連携し、プラスチックごみの削減に向けた活動を進めること。
