市民福祉委員会『性の多様性の理解を進めるために』
更新日:2024年2月6日
調査期間
令和4・5年度
テーマ選定の経緯
現在の日本では、セクシャルマイノリティが、偏見や差別により精神的苦痛を受け、生活上の困難や苦しみを抱えている人々が少なくない。
国民一人一人がセクシャルマイノリティについて正しく理解し、差別や偏見の解消が図られるよう、自治体や各種団体において、啓発冊子の作成・配布、人権啓発講座・理解促進セミナーの開催など、積極的な啓発活動や当事者支援に努めてきている。
本市でも、性の多様性に関する市民の理解を求める取組は行っているが、セクシャルマイノリティへの支援について十分とは言い難く、様々な場面で不利益を受けていると感じる当事者の方がいる。
これらの課題を克服するために、性の多様性を受け入れる精神を涵養し、もって性の多様性が尊重される社会の実現に資することが必要と考え、閉会中の調査研究テーマを「性の多様性の理解を進めるために」と決定し、誰一人取り残さない、誰もが同じように選択肢のある自由な暮らしができる社会の実現を目指すため、調査研究を行うこととした。
市への主な提言事項
1 性の多様性を尊重し寄り添う行政に
民間の模範たる本市職員は、より一層、人権に関する知識や理解を深めるとともに、これまで以上に、性の多様性を尊重し寄り添う姿勢を見せることが必要である。
●パートナーシップ制度等による誰もが生きやすい社会の実現
・誰もが同じように各種手続きやサービス利用等ができるよう、セクシャルマイノリティの現状把握に努め、必要に応じて本市の運用を見直しするとともに、事業者等にも働きかけること。
・当事者に寄り添い、お互いが認め合い、自分らしく安心して暮らすことができる社会を目指している本市の姿勢の象徴として、パートナーシップ制度・ファミリーシップ制度を速やかに導入すること。
●ALLY(アライ)研修の実施
・セクシャルマイノリティを理解し支援するという考え方や、その考え方を持つ人のことを表すALLYについて職員向けに研修を行い、修了した職員に対しレインボーカラーのバッジを交付すること。
2 相談・支援体制の充実
声を上げられない当事者が一人で悩まず、カミングアウトやアウティングの不安もなく安心して相談できるよう、相談内容に応じた支援や正確な情報提供等を行うことができる相談・支援体制の充実が必要である。
●専門相談窓口の設置
・可能な限り多くの方法(オンライン、電話、メール、来庁など)に対応し、当事者と関係者(家族、友人など)に寄り添える相談体制を整えること。
・相談を躊躇する当事者と関係者(家族、友人など)のために、匿名性を高めた相談手法を研究すること。
3 啓発・教育の推進
当事者が生きづらさを感じている現状があり、性の多様性に関する理解を深めることによって、市民的権利を保障し、すべての人々が尊重し合い平穏に暮らせる共生社会を作っていくことが求められていることから、性の多様性に関し、啓発・教育に取り組むことが必要である。
●市民を対象とした取組
・市民向け冊子を作成し、家庭、地域、学校など様々な場面での人権に関する研修会や行事等で配布し啓発すること。
・性の多様性に関する理解を促進するため、工夫を凝らした啓発展示やレインボーグッズの配布などを通じて広く市民への啓発に努めること。
●事業者等を対象とした取組
・当事者が、就職や職場で不利益を被る事がないよう、企業・団体等を通じた啓発を行うこと。