総務理財委員会『中核市・中枢中核都市の事務・権限、財源について』
更新日:2022年2月9日
調査期間
令和2・3年度
テーマ選定の経緯
本市は2000年4月に中核市に移行してから20年が経過した。当時27市であった中核市も、中核市となるための指定要件が緩和されたことなどにより、現在60市を超えさらに増加している。そうした中、2020年に一般財団法人日本総合研究所が発表した「中核市幸福度ランキング」で本市は、48中核市中44位であった。住民にもっとも身近な基礎自治体として、与えられた権限を活かし住民の生活に密着した行政サービスを行う一方で、地域の拠点都市にふさわしい都市づくりに取り組むために、中核市として本市ができることを調査研究する。また2018年から中枢中核都市ともなっている本市での、それぞれの事務・権限そして財源を再認識し、今後の市政全般に活かすことを目的に、閉会中の調査研究テーマを「中核市・中枢中核都市の事務・権限、財源」と決定し、調査研究を行うこととした。
市への主な提言事項
総括
平成12年(2000年)4月に中核市へ移行し、その5年後に平成の大合併を迎えて以来、本市は四国最大の50万都市に相応しいまちづくりに鋭意取り組んでいる。一方で、この20年で国内外の情勢は大きく変わり、時代と社会に即応した都市機能の強化・充実が求められているのは言うまでもない。
身近な例を挙げれば、中核市の権限で設置された本市保健所は未曽有の災難であるコロナ禍において市民の命を守る重要な役割を担っており、中核市への移行に伴う権限を十分に発揮していくことは、市民生活の安寧と本市の発展のために極めて重要なことであると再認識させられる。
そこで、まずは、中核市に移譲された権限は十分に発揮されているのか、また、新しい市民ニーズを踏まえ、中核市ゆえに可能で必要な新たな事業はないのか検証することが重要である。
また、本市は全国で82ある中枢中核都市の1つに選定され、地方創生の取組の中で、活力ある地域社会を維持するための中心・拠点として、近隣市町村を含めた圏域全体の経済、生活を支え、圏域から東京圏への人口流出を抑止する機能を発揮することが期待されていることからも、その実現に向けて、地方創生推進交付金の有効な活用を図るとともに、事案によっては課題解決に向けた実行支援も有効活用すべきである。
これら、中核市としての機能や役割を十分に果たしていくための一助として、以下4点について当委員会として提言を行うものである。
中核市ゆえに可能で必要な新たな事業について検証すること
中核市に移譲された権限は十分に発揮されてい るのか、また、新しい市民ニーズを踏まえ、中核市として設置するべき施設もしくは設置できる施設についてなど、中核市ゆえに可能で必要な新たな事業はないのか検証すること。
国の支援策を有効活用すること
中枢中核都市に対する国の支援策について、本市では、地方創生推進交付金の交付上限額を引き上げる「地方創生推進交付金支援」の活用はしているものの、省庁横断的な実行支援「ハンズオン支援」は活用していない。事案によっては課題解決に向けた実行支援としてのハンズオン支援を活用するため、所管課のみでなく全庁的に協議・検討を重ねながら有効活用に努めること。
安定した財政運営に取り組むこと
本市が中核市として、市民に最も身近な基礎自治体として、その機能や役割を十分に果たしていくためには、安定的な財政運営の裏付けが必要である。健全な財政運営へのガイドラインを遵守し、他市が取り組んでいる好事例なども参考に、将来にわたり安定した財政運営に取り組むこと。また、財源について、交付金や補助金を最大限に活用できるよう、調査・研究を行い、情報の収集や各所管課への提供などに努めること。
連携中枢都市圏構想と中枢中核都市の取組を関連付け効果的に施策を展開すること
これまで本市では、連携中枢都市圏構想を策定し、人口減少や少子高齢社会にあっても圏域の中心都市が拠点となって近隣の市町村と連携し、コンパクト化とネットワーク化によって一定の圏域人口を保有し、活力ある社会経済を維持することを目指してきた。そして、この目的を達成するために、1.「圏域全体の経済成長のけん引」、2.「高次の都市機能の集積・強化」、3.「圏域全体の生活関連機能サービスの向上」などの連携した取組を行ってきた。
一方、中枢中核都市は、活力ある地域社会を維持するための中心・拠点として、近隣市町を含めた圏域全体の経済、生活を支え、都市力の向上等により圏域から東京圏への人口流出を抑止する機能を発揮することが期待されている。
このため、連携中枢都市圏において松山市に求められている地域の拠点都市として圏域全体の活性化や暮らしを支える役割は、中枢中核都市に期待される役割と重複するところがある。
そこで、連携中枢都市圏及び中枢中核都市の取り組みについては、関連し、補完し合って施策を展開するのが効果的であると考えることから、相乗効果の見込める取組の実施に努めること。