産業経済委員会『第一次産業における多様な担い手の参入と育成について』
更新日:2016年2月4日
調査期間
平成26年度・27年度
テーマ選定の経緯
農業や漁業など、第一次産業における担い手の減少はかねてから指摘されているところであり、本市に限らず日本全体の課題となっています。
第一次産業就業者を確保するためには、まずは担い手育成のための有効な施策を講ずる必要があり、また担い手が定着するためには、農漁業所得の向上が欠かせません。
そこで、農林水産業を所管する本委員会はテーマの選定にあたり、農業・漁業にかかわる現状整理や現行計画の事業検証及び状況を踏まえた研究を行うことで、将来の本市の第一次産業の振興を目指したいと考え、当委員会の閉会中の調査研究テーマを「第一次産業における多様な担い手の参入と育成について」と決定し、調査研究を行いました。
市への主な提言事項
農業の担い手の確保・育成について
- 未経験就農者の参入と育成を図り、定年を迎えた高齢者などの意欲と知見を積極的に活用すること。
- 定年後のライフステージに就農が選択できるよう、就農啓発に努めること。
- 女性就農者の参入と育成を図り、女性の活躍推進の一環に就農を位置づけること。
- 体験やイベント、広報などを通じて、女性の就農啓発を図ること。
- 青年就農者の参入と育成を図り、既存の青年就農支援策の積極的な活用を行うとともに、有効な支援策の開発と活用に取り組むこと。
- 農福連携の推進を図り、担い手不足や耕作放棄地の解消に資するために、障がい者就労などとのマッチング支援を行うこと。
農業生産・販売について
- 農地中間管理機構の事業を積極的に活用し、意欲ある担い手への農地集積、集約化を進めること。
- 安全・安心な農作物の普及を図り、特に本市がブランド化を進める、ライム・アボカドについて安全性とブランド力を高めること。
- まつやま農林水産物ブランドのさらなる推進を図るため、既存の認証制度を積極的に活用するとともに、松山らしく、また松山産であることがわかる本市独自の認証マークを活用し普及すること。
- 松山産農林水産物のブランド化をもっと推し進めるとともに、販売・消費までの6次産業化をさらに推進すること。
- 流通システムの利用、ネット販売やネットワーク販売に視野を広めることで、多様なニーズにこたえる、魅力ある生産・消費・販売を行うこと。
- 外食産業でも食のグローバル化が進んでいる中、外国食品と差別化を図り、それに対応できる農業を推し進めること。
鳥獣被害について
- 捕獲した有害鳥獣の処理については、有効活用も含め、埋設以外の方法について検討すること。
漁業の担い手の確保・育成について
- 青年漁業従事者の参入と育成を図り、都市部の若者らの移住による「地域おこし協力隊」などを有効に活用すること。
- 漁業資源の安定的な確保のため、藻場造成、増殖礁・築磯の設置など、幼稚魚育成のための施策を推進すること。
水産物のブランド化・販路拡大について
- 松山水産物のブランド化の推進を図り、漁業協同組合連合会などが取り組んでいる、地元漁師が自信を持って勧める魚「プライドフィッシュ」などのPR事業を後押しし、支援すること。
- 既存の認証制度の活用や本市独自の認証制度の創設などにより、松山水産物の独自性を活かすこと。
密漁防止について
- 関係機関と連携し、密漁した水産資源の流通防止に努めること。
農業・漁業全般について
- 景観・環境保全や地球温暖化防止など、第一次産業が担う公益的・多面的機能に着目してイメージアップを図り、新たな担い手の発掘につなげること。
- 魅力ある農業・漁業の活性化に寄与できる各種支援策を強化するとともに資金を投入し、さらなる多様な担い手を育成すること。
- 若年の新規就農者・漁業就業者に対しては、一定期間、先進地研修や実習制度や自主研修の場を提供するとともに研究事例発表の場を構築するなど、農漁業の魅力を引き出し、就業定着を支援すること。
- 国の施策と連動し、「攻めの経営」の展開を図り、他業界の成功事例やノウハウを農林水産分野に組み合わせ、付加価値の高い経営支援を提供できる体制を構築すること。
- 若者や女性、中・高齢者それぞれが、多様な働き方ができ、魅力ある生産活動ができるシステムの構築をすること。
- 魅力ある農業・漁業を創出し、安定した生活ができるよう、賃金や所得の向上に努めること。
- 農漁業で安定的に生計を立てられるよう、収穫物の単価を上げる支援策に取り組むこと。
- トラクターや漁船、機械など初期投資が多大となる設備へのバックアップを更に推進すること。