文教消防委員会『公立図書館の現状認識と今後の在り方について』

更新日:2024年2月6日

調査期間

令和4・5年度

テーマ選定の経緯

 図書館は、地域住民に最も身近で利用頻度の高い公共施設であり、雑誌や小説等を通して生活を豊かにするとともに、実用書や専門書等を活用した調べ学習の拠点としての役割も担っている。
 今後、人口減少や財政難等、地方を取り巻く環境はますます厳しくなる中、公共施設の縮小や再編統合、効率化は避けられず、さらにはデジタル技術が急速に進む中、住民の意識やライフスタイルも大きく変化している。また昨今では、全国的に、図書館を地域コミュニティの醸成や課題解決の支援などまちづくり活動の基盤と位置づけたり、地域活性化の戦略拠点として外観上もユニークで魅力的なまちなか図書館などが相次いで誕生するなどしている。
 そこで、図書館の役割や位置づけを再考察し、現状の課題解決の処方箋や具体的将来像を示すべき時期と認識し、当委員会の閉会中の調査研究テーマを「公立図書館の現状認識と今後の在り方について」と決定した。

市への主な提言事項

1  現状の諸課題解決に向けた挑戦

【市立図書館】
(1)図書資料購入費及び蔵書数の増加に向けて
・図書行政の命綱である市立図書館の図書資料購入費及び蔵書数は、類似都市(人口45万人以上の中核市)の図書館中、圧倒的に少ないことから、厳しい財政状況下ではあるが、ふるさと納税やクラウドファンディング等により財源確保に努め、増加に向けて計画的に進めること。

(2)不明本の解消に向けて
・以前と比較して減少したとはいえ、現状で年間約500冊もの不明本が発生していることから、重ねて対策の強化に努めること。

(3)松山市総合コミュニティセンターとの連携による施設改善及び一体的運営に向けて
・駐車、駐輪、公共交通利便性向上等、アクセスの改善に努めること。
・自習室やレファレンス機能を拡充すること。
・コンサートや講演会、イベント等、複合施設のメリットを生かした運営をすること。
・開館日や開館時間の拡充、イベントの充実等について、関連団体との連携や民間活力の導入を検討すること。

(4)中高生等青少年への読書活動の推進に向けて
・好評の青春本棚やビブリオバトルの開催のほか、読書クラブを設立して定期的な読書会やディスカッションを行ったり、読書キャンペーンや読書週間により読書の楽しさや重要性をさらに広めるなど、青少年をターゲットにした事業の拡充に努めること。
・読書や学生の自習スペースを拡充し、青少年が足を運びたくなるような環境の整備に努めること。

(5)専門人材の育成強化に向けて
・認定司書制度の認知や活用に努め、資格保有者に給与待遇面でインセンティブを付与するなど、専門人材を客観的に評価する制度を導入すること。
・図書館司書の業務や役割、顔ぶれなど分かりやすく紹介することで、市民から親しまれる司書となるような発信をすること。

(6)図書館協議会の充実に向けて
・図書サービスや図書館の民主的運営の向上を図るため、会議日数や協議内容の拡充、市民公募枠、会議や会議録の公開等について検討すること。

【学校図書館】
(1)中学生への読書活動の推進に向けて
・第4次まつやま子ども読書活動推進計画の各種目標数値指標において、中学生の学校図書貸出冊数は小学生に比べ著しく低い数値にとどまっていることから、中学校図書の各種数値の向上に努めること。
・読書クラブを設立して定期的な読書会やディスカッションを行ったり、読書キャンペーンや読書週間により読書の楽しさや重要性をさらに広めることを検討すること。
・市立図書館の青少年向けの事業との連携を検討すること。

(2)専門人材の育成強化に向けて
・学校図書館運営支援員の役割は重大かつ重要であることから、待遇改善とさらなる専門性の強化に努めること。

【公民館図書室】
(1)公民館図書の抜本的見直しに向けて
・開室時間や日数、図書資料購入費や蔵書数の増加等、環境整備に努めること。
・地域の意見を尊重しながら、公民館ブロック単位への再編や子ども関連の市有施設との併設等の集約化、及び司書資格あるいは同等の知識を持った人材の配置に努めること。
・市立図書館や学校図書館、移動図書館車との連携により、地域の図書環境を整備すること。

2  未来型図書館創造に向けた挑戦

【市立図書館】
(1)デジタル化への対応に向けて
・コロナ禍の教訓を生かした貸本の宅配サービス、オンラインでのレファレンスサービスの提供やワークショップ、講演会のイベント開催等、非接触サービスの環境を整備すること。
・手続や蔵書点検業務へデジタル技術を導入し、単純作業からレファレンス機能の充実へ労務内容をシフトし、休館日の縮減やサービス向上につなげること。
・電子書籍やオーディオブック、デジタルアーカイブを導入すること。

(2)施設マネジメント(市立中央図書館の建て替え)に向けて
・先進事例(高知、長崎)を調査研究するなど、県市連携による県立図書館との統合について、総合計画との整合性を勘案しながら検討すること。
・総合計画との整合性を勘案しながら、これまでに議会が提言した、都市活性化調査特別委員会によるJR松山駅前整備に合わせた貨物基地跡地への移転や、「本庁舎周辺市有地の将来的グランドデザインに関する提言書(通称「ばんちょうプラン」)」で示された本庁舎周辺地域(まちなか)への移転を検討すること。
・資料の収集や保存、貸出し、調べ学習機能といった従来の図書館機能に加えて、市民活動や交流拠点、地域活性化機能等、新たな機能を踏まえた設備や立地についても検討すること。

【全体(市立図書館、学校図書館、公民館図書室)】
(1)「(仮称)松山市図書行政ビジョン」の策定に向けて
・人口減少、厳しい財政状況、多様化する価値観やライフスタイルの中で、図書館へのニーズは、資料の貸出しや調査研究業務にとどまらず交流機能やまちづくりの拠点としてより一層重要となってきている。こうしたニーズに適切に対応できるよう、今後の図書館の在るべき姿、果たすべき役割、実現への戦略等を明確化し市民と共有する必要があるため、総合計画との整合性を勘案しながら「(仮称)松山市図書行政ビジョン」を策定すること。

(2)「(仮称)まちじゅう図書館構想」の推進に向けて
・他の行政や教育機関のほか、民間や地域で図書サービスを行っている施設と連携し、市域全体で図書サービスを提供し地域活力の強化を図るため、「(仮称)まちじゅう図書館構想」を推進すること。

お問い合わせ

市議会事務局

〒790-8571 愛媛県松山市二番町四丁目7-2 別館5階

電話:089-948-6652

E-mail:gikai@city.matsuyama.ehime.jp

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