産業経済委員会『農林水産物のブランド化に向けた取組について』
更新日:2024年2月6日
調査期間
令和4・5年度
テーマ選定の経緯
本市における農業の担い手は年々減少し、高齢化が著しい状況にある中、農業を持続可能なものとするためには、担い手の確保や農地を効果的に活用し、農林水産物を安定的に生産できる体制づくりを進めていかなければならない。
このような中、本市ではこれまでに、農林水産業の振興を目指し、紅まどんなやせとかなどのかんきつ類のほか、松山長なすや松山一寸そらまめなどをまつやま農林水産物ブランドに認定し、農林水産物の高付加価値化等に取り組んできた。
当委員会では、これまでの取組内容やブランド産品の現状を整理し研究を行うことで、生産者と消費者の双方にとって有益なブランド化を目指したいと考え、閉会中の調査研究テーマを「農林水産物のブランド化に向けた取組について」と決定し、調査・研究を進めていくこととなった。
市への主な提言事項
1 PR活動の推進について
持続可能な農業を達成するためには、農林漁家の経営の安定化と担い手の確保等を進める必要があり、本市では、農林水産物の高品質化やブランド力の強化を第6次松山市総合計画(後期基本計画)や松山市第2期SDGs未来都市計画に位置づけ、各種取組を進めているところである。
その中でも、市内外での販路や消費の拡大に向けたPR活動が重要である。本市のブランド産品であることが視覚的に伝わりやすいロゴ等の活用、各種イベントと連携したブランド産品の魅力や味を伝えるPR事業の推進、ブランド産品のおいしさを味わうことができる調理方法の紹介などに重点的に取り組むことが必要である。
また、ブランド産品の認知度を向上していくには、その魅力を発信することが必要である。八女市への行政視察や松山長なすの生産者との意見交換では、普段は接することのできない生産者のこだわりを聞くことができた。ブランド品としての価値を維持するためにどのような苦労があるのか、なぜブランド品が高いのかを知ってもらうために、分かりやすく情報を発信することが重要であると考える。
以上のことから、次の事項について検討するよう提言する。
(1)本市のブランド産品であることを示すロゴ、マーク、チラシの活用
(2)市内で開催されるイベントと連携したPR事業の推進
(3)ブランド産品を活用した調理方法の研究や普及啓発
(4)生産者の思いを消費者に届ける情報発信
2 流通に係る取組について
第2期松山市地産地消促進計画では、地域での安定した生産や農林水産物を消費者へ新鮮な状態で安全に届けるための流通経路の確保が必要で、生産・流通・消費がうまく循環するように地元消費の拡大が重要とされている。
しかしながら、ブランド産品は高価格帯での取引が見込める都市部での流通量が市内に比べ多い傾向にある。市場経済の原則で言えば、高値がつく市場でより活発な取引が行われることは仕方のないことなのかもしれないが、産地のより多くの市民がブランド産品に触れることができるよう、市内での流通拡大に向けた支援に取り組む必要がある。今後は、例えば、地元産品の魅力を知り尽くした地元企業が、6次産業化としてブランド産品を使った加工品の開発を行うなど、地元ならではの価値創造を行い、消費を拡大していくための支援が考えられる。
また、本市では、デジタル化社会への対応やコロナ禍を契機に、令和4年度から新たにライブコマースに取り組んでおり、認定団体もデジタル社会に対応した新しいPR活動や販売スタイルの構築を進めていく必要がある。また、今後、各ブランド産品の旬の時期を捉えたキャンペーン期間を設定し、認定団体が主体的に行う活動への支援に取り組むことで、消費者の購買意欲を高め、流通量の増加と消費拡大が期待できる。
以上のことから、次の事項について検討するよう提言する。
(1)市内での消費拡大に向けた支援
(2)認定団体が行う活動に対する支援