環境企業委員会『スマートシティに向けた再生可能エネルギーの利活用拡大について』
更新日:2022年2月9日
調査期間
令和2・3年度
テーマ選定の経緯
本市は、2020年3月、新たな温室効果ガス削減目標と目標達成に向けた具体的な取り組みを示した「松山市環境モデル都市行動計画」を策定し、取組方針と10項目の「重点取組」を設定した。同計画の推進には、行政、市民、事業者各々が脱炭素社会構築に向けた再生可能エネルギーに関する取組みを着実に進めていく必要がある。そこで、本委員会では、「スマートシティに向けた再生可能エネルギーの利活用拡大について」を調査研究テーマとした。
折しも、国は地球温暖化対策の推進に関する法律を改正し、2050年カーボンニュートラルを基本理念として位置付けるとともに、2030年度には2013年度比46%減の温室効果ガス削減を新たに目標として掲げ、地域での再生可能エネルギーの利活用拡大など脱炭素化の取組みを求めている。
今後、これらの実現に向け、さらに、脱炭素への取組みを大きくシフトチェンジしていく必要が生じていることから、本市が推進すべき、社会情勢を踏まえた取組みに関する調査研究を行った。
市への主な提言事項
松山市役所としての取組みについて
(1)松山市役所温暖化対策実行計画の改定
現行の第5期計画について、新たな国の目標を踏まえ、ゼロカーボン社会を見据えた計画とするとともに、計画策定後は、関係部局と連携した取組を行うことにより脱炭素化を推進すること。
(2)松山市環境モデル都市行動計画の改定
現行の環境モデル都市行動計画についても同様に、新たな国の目標を踏まえつつゼロカーボン社会を見据えて、市民(家庭)や事業者(企業)と連携し、従来の延長線の施策に加え、市として数値を盛り込みながら目標の設定や大幅な削減効果が期待できる新たな計画とすること。
(3)公共施設での再生可能エネルギーの活用
公共施設の屋根や屋上、本市が管理する空き地等を事業者へ貸し出すことなど、太陽光発電システムの活用の場を広げ、再生可能エネルギーの導入促進とともに、市民への意識改革に繋げること。
市民(家庭)の再生可能エネルギー普及などの取組みについて
(1)再生可能エネルギーの効果的な利活用
現在実施している太陽光やZEHのほか、燃料電池、蓄電池、V2H、EV自動車などへの支援に加え、民間企業の協力を得て市内にEVスタンドを積極的に設置するなど、市民の家庭生活や移動に伴う脱炭素化を進めるために再生可能エネルギーの活用に繋がる各種施策を実施していくこと。
(2)再生可能エネルギー利活用の効果的な啓発等
エコ住宅展示や食品ロスを減らすフードドライブ活動などと連携した環境イベントや環境教育の機会を活用し、EV自動車の賢い利用の啓発や地域新電力が実施するPPA事業の紹介、実証事業の場と位置付けられた中島での取組みなどを広く知らしめることで、再生可能エネルギーを「創る・貯める・賢く使う」スマートシティへの理解と普及促進に繋げること。
事業者(企業)が主体となる再生可能エネルギー普及などの取組みについて
(1)市内企業の脱炭素促進
企業の環境意識に対する投資家や金融機関、ステークホルダーなどの視線が厳しくなる中、市内企業では脱炭素社会に向けて生ごみのたい肥化をはじめとして、省エネや再生可能エネルギーに関する投資を行う事例も生じている。
こうした機会を捉え、金融機関をはじめとした民間などと連携して、再生可能エネルギーの導入拡大に繋げること。
(2)マンションや集合住宅の未利用能力の活用
これまで主に取り組んできた家庭に対する施策に加え、マンションや集合住宅で潜在能力が未利用となっている広大な屋根や遊休地を有効活用した再生可能エネルギーの普及促進とともに、入居者の環境意識の向上に繋げること。
(3)卒FIT対応やPPAモデルの普及促進
太陽光発電の固定価格買取制度(FIT)の適用が終了した、いわゆる卒FITを迎える再生可能エネルギーを賢く利用する方策を検討するほか、一般家庭の屋根などへ初期投資ゼロで太陽光発電設備の導入を推進するPPAモデルや、こうした電力を地域内で融通するVPP事業の可能性を検討すること。
