都市企業委員会『住宅マスタープランについて』
更新日:2015年3月23日
調査期間
平成24年度・25年度
テーマ選定の経緯
全国的に社会問題となっている少子高齢化の急速な進展や人口減少時代への移行は、松山市においても例外ではなく、高齢者人口の増加や空き家の増加といった現象が起きています。
このような住生活を取り巻く環境の変化が身近な問題として発生している中、これからの松山市におけるまちづくりでは、民間分野を含め住宅市場全体を視野に入れた「総合的な住宅施策体系」への転換や少子高齢化に備えた住宅・住環境づくりを取り入れた集約型都市、いわゆるコンパクトシティの形成を目指すことが必要となっています。
しかし、集約型都市は土地利用・交通・住宅施策等を一体的に実施しながら集約化に向けた住替え促進策をつくることで住環境の向上に繋がり実現するものであります。そこで、住宅行政を所管する本委員会はテーマの選定にあたり、住宅・住環境にかかわる現状整理や現行計画の事業検証及び状況を踏まえた研究を行うことで、将来の松山市が、松山市民にとって暮らしやすい「まち」になることを目指したいと考え、当委員会の閉会中の調査研究テーマを「住宅マスタープラン」と決定し、調査研究を行いました。
市への主な提言事項
借上げ公営住宅について
- 借上げ公営住宅の導入にあたっては、他市事例や松山市の住宅事情等を踏まえ、慎重に調査研究を行うこと。
- 制度導入時には、耐震基準を満たしているか、また耐用年数を調べるなど、事故が起きた場合の管理責任についても考慮に入れた選定基準を検討すること。
- 制度導入時には、更新期間や建物及び設備等修繕の管理負担区分など、現在の公営住宅の規約以上に様々な要素を組み込んだ契約書を作成し、トラブルの防止に取り組むこと。
- 制度導入時には、家賃設定に留意しつつ、市の財政に負担がなるべくかからないように借上げ金額の設定を行うこと。
長期優良住宅について
- 認定長期優良住宅に対する固定資産税の減額制度等、所有者にとってメリットがある制度について研究すること。
- 長期優良住宅が普及するよう取り組むこと。
街なか居住について
- 公共交通網の充実として、電車・バスなど公共交通を取り入れ、車に頼らない集約型都市を形成している先進地の取り組みなども参考とし、住宅地における新たな公共交通網の充実について検討していくこと。
空き家対策について
- 空き家を取り壊したら土地の固定資産税について軽減措置がなくなり、現状より税額が高くなるため、放置されているのではないか、といったことも推測され、空き家が増加している原因をさらに分析し、全庁的な検討を行うこと。
- 危険家屋と老朽家屋とは区別し、倒壊しそうで危険なのか、衛生的にごみ屋敷のような状態になって問題となっているのか区別して検討を進めること。
市営住宅の長寿命化について
- 住まわれている方の高齢化や建物自体の老朽化による不便を解消できるよう、住環境の改善に取り組むこと。
中心市街地における都市改変と再開発の可能性について
- 中心市街地や郊外部の都市計画については、将来にわたり、誰もが手軽に公共交通を利用できる都市計画を研究すること。
郊外大規模団地等の今後について
- 団地等内の共用施設について住民管理の共有施設、例えば給排水処理設備などの維持管理問題が予想されることから、他市事例等を調査し研究すること。
理事者からの進捗状況報告(要約)
借上げ公営住宅について
- 借上げ公営住宅については、民間ストックの有効活用の観点や、一時的な公営住宅不足に対応するための、一つの有効な制度であると考えており、導入については松山市の住宅事情や他市事例等を踏まえ、調査・研究していきたい。また、制度導入を行う際には、耐震基準を満たしているかどうか等適切な選定基準を設ける必要があると考えており、設備、管理区分、契約等についても十分検討し、他市事例等を調査・研究し、トラブル防止に努めていきたい。また、制度導入時には、民間事業者との折衝等により適切な借上げ金額の設定について交渉していきたい。
長期優良住宅について
- 現在、長期優良住宅に認定された場合、所得税、固定資産税等の税の特例措置があり、住宅ローンの供給支援等も行われています。これは、全国共通であり、市独自の新たな支援制度については、普及促進の観点から、今後も研究していきたい。
- 国における「住生活基本計画(全体計画)」においても【新築住宅における認定長期優良住宅の割合数値目標】が8.8%⇒20%であることから、本市においても15.6%⇒20%を目標指標として設定し、実現に向けて普及啓発していく。
街なか居住について
- 低炭素社会、高齢化社会等に対応するための都市形成の中で、公共交通の社会全体での果たす役割は大きいと考えており、今後も新たな公共交通網について調査・研究していきたい。
空き家対策について
- 空き家適正管理のための第一段階の施策として、適正管理条例制定を現在検討しており、今年度設置したワーキンググループの中で全庁的に継続して検討していくこととしている。また、国政の場においても、空き家に対する法整備等を求める動きがあるとの報道がされていることから、その動向にも注視していきたい。
- 管理不全である住宅は、その危険性、環境面、防犯面、防災面で問題となっているが、まずは市として、空き家の適正管理条例制定に向けて準備を行っているところであり、その中で危険家屋や老朽家屋についてそれぞれ対応策を調査・研究していきたい。
市営住宅の長寿命化について
- 市営住宅の住環境改善については、現在においても耐震補強等の大規模改修や、建替え時に合わせて行っている。今後についても、改修・建替え時に住環境の改善に取り組み、高齢化対応や居住性の向上のための計画的な修繕についても取り組んでいきたい。
中心市街地における都市改変と再開発の可能性について
- 中心市街地や郊外部の都市計画については、「都市計画マスタープラン」に基づき、主に取り組むこととなるが、住環境整備には、公共交通機関の整備等についても関連があることから、関係課と連携しながら、今後調査・研究していきたい。
郊外大規模団地等の今後について
- 郊外大規模団地における住民管理の共有施設の維持管理問題については、団地ごとの状況や、他市事例等を調査し、研究していきたい。