「伊佐爾波神社楼門」について
楼門は、石段を上りつめた社殿の正面に位置する。一間一戸の楼門で、屋根は入母屋造り、ニ軒、本瓦葺である。柱は円柱で2階柱上には三手先の疎組斗きょうを置いて軒を受け、蛇腹支輪・軒格天井を持つ。1階の柱は上部に粽を付け、頭貫・台輪の上に腰組を置いて2階の回縁を受ける。門の前面には、一間向唐破風、本瓦葺の向拝が付く。これらの木部の丹塗り、彩色は本殿に同じである。
屋根を受ける四隅の斗きょうの上段尾垂木上には、裸身の力士像が置かれて全身で隅木を支える。これは法隆寺五重塔の裳階の上に見られるもので、先の本殿の妻の蟇股に迦陵頻伽の姿が彫られ、廻廊の内部化粧梁に錫杖彫りが施され、廻廊の内部蟇股に一遍上人遊行の姿が描かれていることなどとも併せ、当神社の社殿が仏教建築の細部意匠を多用していることがわかる。このことは八幡神により始まった神仏習合の、その長い歴史を物語るものである。