(実施報告)子規・漱石生誕150年記念 俳都松山キャラバン2017in斑鳩

更新日:2017年11月8日

平成29年8月6日、いかるがホールで子規・漱石生誕150年記念「俳都松山キャラバン2017in斑鳩」を開催しました。集まった約230人の観客が夏井いつきさんの講話と、囲碁や将棋のように俳句の出来を競う「俳句対局」を楽しみました。

第1部講話「十七音が未来を変える」

俳都松山大使の夏井いつきさんが「十七音が未来を変える」をテーマに俳句の魅力を話しました。

『柿くへば鐘が鳴るなり法隆寺』
子規が奈良県で詠んだ句「柿くへば鐘が鳴るなり法隆寺」にある、「くへば」という表現について話しはじめた夏井さん。「已然形のこの表現には三つの読み方があり、1つ目は原因・理由、二つ目は「いつも」という普遍性、3つ目は偶然を表します。1つ目や2つ目のように「柿をたべたので」、「柿を食べるといつも」という読み方もできます。ですが、3つ目の「柿を食べるとたまたま法隆寺の鐘が鳴りました」と読むことで、奈良をしみじみと味わうことができるのです」と夏井さんは話しました。

子規の「柿食えば鐘が鳴るなり法隆寺」の俳句について語る夏井さん
奈良を味わうことができる句ですね

『百年俳句計画』
国語教師だった時、松田先生という方が若手の教員に教えてくださったことを今でも覚えているという夏井さん。
「教育と文化は100年という単位で考えなければならない」
目の前の小さな事ばかりにとらわれていると100年後の未来は見えてこないと教えられました。
また松田先生の「風の強い日の旗は美しい」という言葉が人生を支えてくれたと話します。向かい風の中でもまっすぐ前を見て、まっすぐ進む人は美しい。
「このような言葉たちが私の中で強く根づき、「百年俳句計画」がかたまっていったのです」と夏井さん。

『子規没後100年』
「子規没後100年」の年になったとき、さらに「100年」を強く意識するようになりました。100年後の未来に小さな石として、今できることがあるのではないかと考えました。
ちょうどその頃俳句甲子園を立ち上げた人と出会い、失敗の中で今私にできることは「子どもたちに俳句を教えること」ではないかと思いました。俳句甲子園が開催できるようになったとき、俳句が好きな高校生ができるようにと小中学生に俳句を教え始めました。と夏井さん。俳句甲子園は全国大会が行われるわずか2.5日間のために1年をかけて計画するのです。

『句会ライブ』
句会ライブというものは、勉強というよりも俳句を使ったコミュニケーションだと思います。
俳句の山が富士山のようにずっと高くいるために私ができることは、このように俳句の裾野を広げる活動を続けることです。と夏井さんは話します。

第2部俳句対局トーナメント戦

俳句対局

俳句対局とは、囲碁や将棋のように制限時間内に俳句を作り合う、一対一の句合わせ対決です。目の前で俳句が生まれる緊張感と高揚感を味わえます。夏井いつきさんによる実況解説付きです。今回は、子規・漱石生誕150年を記念し、席題句に全て正岡子規の俳句を使用しました。

【選手・審査員】

選手…岡田由季さん、仲田陽子さん、山本たくやさん、淺津大雅さん
審査…宇多喜代子さん、植田珠實さん、古賀しぐれさん、曾根毅さん

選手の方々
(左から)淺津大雅さん、山本たくやさん、仲田陽子さん、岡田由季さん

審査員の方々
(左から)宇多喜代子さん、植田珠實さん、古賀しぐれさん、曾根毅さん

第一試合

抽選の結果、第一試合は、岡田由季さんと仲田陽子さんの対戦です。
「頭が真っ白にならないように頑張ります」という仲田さんに対し、岡田さんは「頭が真っ白になる自信があります」とコメント。
零番句は、正岡子規の「活きた目をつつきに来るか蝿の声」です。
岡田さんの3句目「老犬の一歩一歩に西日差す」は前の句の季語「西瓜」から一語を取っているので、減点です。

第一試合結果
手番 名前 俳句点 残り時間 時間点 合計 勝敗
先手 岡田由季 20 1分17秒 -0.5 19.5
後手 仲田陽子 19.25 48秒 -1 18.25
第一試合内容  零番句「活きた目をつつきに来るか蠅の声」
作者 俳句 点数 宇多 植田 古賀 曾根 減点
岡田由季 朝曇盛り上がりたる目玉焼 6.75 6 7 7 7  
仲田陽子 雨蛙目玉大きくしていたり 6.25 6 7 6 6  
岡田由季 上階の玻璃越しに見る大文字 7 4 8 8 8  
仲田陽子 上段の構え西瓜は二歩先に 7 5 8 8 7  
岡田由季 老犬の一歩一歩に西日差す 6.25 6 7 6 8 -0.5
仲田陽子 歩をひとつ進めるあいだ雲の峰 6 4 7 6 7  

第二試合

第二試合は山本さんと淺津さんの戦いです。
零番句は正岡子規の「瓜くれて瓜盗まれし話かな」です。
「優勝いけます」という山本さんと「たくさんの方の前での即吟で真っ白にならないようにしたい」という淺津さん。
異なる意気込みを持つ二人の戦いは、インパクトの強い俳句が並びました。

第二試合結果
手番 名前 俳句点 残り時間 時間点 合計 勝敗
先手 山本たくや 17.5 2分9秒 0 17.5
後手 淺津大雅 19.25 2分9秒 0 19.25
第二試合内容  零番句「瓜くれて瓜盗まれし話かな」
作者 俳句 点数 宇多 植田 古賀 曾根 減点
山本たくや 川床に強盗犯が潜伏す 6.25 7 7 4 7  
淺津大雅 虫干の一冊盗られをりしかな 6.5 6 7 7 6  
山本たくや 短冊に願う父に逢いたいと 5.25 5 5 5 6  
淺津大雅 原爆の日や父独り暮らしなり 6.75 7 8 6 6  
山本たくや 除夜の鐘いまも独りで聞いている 6 6 6 5 7  
淺津大雅 晩鐘や蜥蜴ぬめりて逃げゆける 6 6 6 6 6  

決勝戦

岡田由季さんと淺津大雅さんによる決勝戦です。
零番句は正岡子規の「議事堂や出口出口の青簾」です。
「ここまできたら後悔のないようにしたいです。」という岡田さんと「勝って松山に行きたいです。」という淺津さん。意欲的なお2人の対局は、熱血的な俳句や涼し気な俳句の並ぶ彩豊かなものになりました。
岡田さんの1句目「店からの冷房を浴び御道筋」は「御道筋」の漢字の間違いで減点です。

決勝戦結果
手番 名前 俳句点 残り時間 時間点 合計 勝敗
先手 岡田由季 18.5 2分41秒 0 18.5
後手 淺津大雅 17.5 2分16秒 0 17.5
決勝戦内容  零番句「議事堂や出口出口の青簾」
作者 俳句 点数 宇多 植田 古賀 曾根 減点
岡田由季 店からの冷房を浴び御道筋 4.75 5 5 6 5 -0.5
淺津大雅 筋肉を漲らせ草刈つてをり 6 4 8 6 6  
岡田由季 肉食につぐ肉食や熱帯夜 6.75 6 7 8 6  
淺津大雅 帯締めて不平を言へり秋の昼 6 7 6 6 5  
岡田由季 月涼し帯を鏡に映しけり 7 6 7 8 7  
淺津大雅 夕焼や合はせ鏡を子がよろこぶ 5.5 4 6 5 7  

審査を終えて。宇多喜代子先生のコメント
「想像以上に難儀ですね。面白いです、これ。本当に。」

夏井いつきさんのコメント
「松山に強者が集まります。岡田さん、今から肉を食べてやらかさないように準備してくださいね。」

共催いただいた小城利重斑鳩町長からもごあいさついただきました。

優勝した岡田さんに、俳都松山のロゴマークが入った優勝ボードが手渡されました。
岡田さんは、平成29年11月5日に松山で行われる俳句対局「第3回松山市長杯」に出場します。

イベント終了後のお客様の感想(回収させていただいたアンケートより抜粋)

・俳句対局を初めて見ましたが、スピード感があって、審査の先生のコメントも色々あり、俳句を作るうえでとても勉強になりました。
・とても楽しかった。日々の生活や人生の伴侶とする以外にもこういうライブ的なイベントとしての楽しみもありかと。
・対局トーナメント初めて知りました。このような機会が身近にあると、楽しく力が付きそう。

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〒790-8571 愛媛県松山市二番町四丁目7番地2 本館5階

電話:089-948-6952

E-mail:bunkakotoba@city.matsuyama.ehime.jp

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