(実施報告)子規・漱石生誕150年記念 俳都松山キャラバン2017in熊本

更新日:2017年8月3日

平成29年7月16日、くまもと森都心プラザで子規・漱石生誕150年記念「俳都松山キャラバン2017in熊本」を開催しました。集まった約500人の観客が夏井いつきさんの講話と、囲碁や将棋のように俳句の出来を競う「俳句対局」を楽しみました。

第1部講話「十七音が未来を変える」

俳都松山大使の夏井いつきさんが「十七音が未来を変える」をテーマに俳句の魅力を話しました。

『熊本の復興』
イベントの前日、夏井さんはガイドの三好さんの案内で熊本市内を回りました。「復興に20年かかるようですよ。」というガイドの三好さんの言葉が「胸にずしんときました」と夏井さん。それから三好さんはこう続けます。「20年なんて大した月日じゃありません。もう一年経ちました。一年でこれだけの復興が進んでいるんです。」
「これが熊本県民の方の核にある精神なのでしょう。熊本を愛する気持ちが力強い言葉として現れているのだと思います」と夏井さんは話しました。

熊本の復興について話す夏井さん
熊本を愛する気持ちが大きな力になります

『無常には』
大学生の時に平家物語に関する講義を受けたという夏井さん。「平家物語というと『無常』という考えを取り入れた話であまり好きではありませんでしたが、この講義を受けて『無常』という考え方が変わりました。それは講義の中での先生の言葉がきっかけです。『無常』は負の無常と正の無常があります。全てのものがブラックホールの中に吸い込まれていくのが無常ならば、世の中には何もなくなってしまう。なぜそうならないかというと、負の無常の反対には正の無常があって、新しいものを生み出しているからだと教わりました。」この言葉通り、父の死という負の無常の数年後の同日に息子の誕生という正の無常を経験したと話しました。

『俳句という人生の杖』
今日、会場には俳句好きの方とそうでない方もいらっしゃると思います。俳句をすると人生が豊かになるし、仲間と俳句が人生の杖になります。集ったという偶然をお互い大事にしていってほしいです。夏井さんは観客の方に語りかけます。

『松山に来てください』
俳都松山には隠れた名所があります。それは勝山町電停前の電光掲示板。俳句ポスト365というインターネットで投句できるサイトがあり、天の句に選ばれた場合はその電光掲示板に掲出され、それを見るためにわざわざ勝山町電停前を訪れる人がいらっしゃいます。また、俳句甲子園も俳都松山の夏の風物詩なので、ぜひ松山に来てほしいです。

第2部俳句対局トーナメント戦

俳句対局

ダウンロードのリンク 新規ウインドウで開きます。俳句対局ルール(2015年11月版)(PDF:228KB)
俳句対局とは、囲碁や将棋のように制限時間内に俳句を作り合う、一対一の句合わせ対決です。目の前で俳句が生まれる緊張感と高揚感を味わえます。夏井いつきさんによる実況解説付きです。今回は、子規・漱石生誕150年を記念し、席題句に全て夏目漱石の俳句を使用しました。

【選手・審査員】

選手・・・加藤いろはさん、坂本真二さん、青島玄武さん、松井紀美恵さん
審査・・・柴田佐知子さん、永田満徳さん、加藤知子さん、山下しげ人さん

第一試合

抽選の結果、第一試合は、加藤いろはさんと松井紀美恵さんの対戦です。
とても勢いがあるという加藤さんに対し、松井さんは「対局として成り立つようにがんばる。」と控えめなコメント。それぞれの個性が光る戦いとなりました。
零番句は、夏目漱石の「独身や髭を生して夏に籠る」です。
「髭」を生かして子規と漱石にちなんだ句を素早く作る加藤さん。「桜桃忌」という太宰治の忌日の季語を使った松井さん。どちらも文学に関係の深い対局となりました。一進一退の中で、松井さんの「冬帽子黙ったままの君が好き」は、先手・加藤さんの俳句にある「冬あたたか」という季語から「冬」を取ってしまい、対局のルールにより減点となります。結果は加藤いろはさんが勝利しました。

第一試合結果
手番 名前 俳句点 残り時間 時間点 合計 勝敗
先手 加藤いろは 21.00 4分04秒 0.00 21.00 勝
後手 松井紀美恵 19.25 3分57秒 0.00 19.25 負
第一試合内容 零番句「独身や髭を生して夏に籠る」
作者 俳句 点数 柴田 永田  加藤 山下 減点
加藤いろは 子規の髭漱石の髭冬あたたか 7.25 8 7 7 7  
松井紀美恵 冬帽子黙ったままの君が好き 5.75 6 7 6 6 -0.5
加藤いろは 夢殿に子供のこゑやうららけし 7.25 7 7 7 8  
松井紀美恵 晩夏光子供はいつも残酷で 6.5 7 6 7 6  
加藤いろは 着ぶくれていつも無口の夫であり 6.5 7 7 6 6  
松井紀美恵 角砂糖二つの夫や桜桃忌 7 6 7 8 7  

第二試合

第二試合は坂本さんと青島さんの対決です。
零番句は「衣更へて京より嫁を貰ひけり」です。
試合開始直後は静かなお二人でしたが、次第に波に乗り、両者から「阿蘇」にちなんだ熊本ならではの俳句が生み出されました。この対局は青島さんが勝ち取りました。

第二試合結果
手番 名前 俳句点 残り時間 時間点 合計 勝敗
先手 坂本真二 17.75 2分38秒 0 17.75 負
後手 青島玄武 19.50 3分03秒 0 19.5 勝
第2試合内容 零番句「衣更へて京より嫁を貰ひけり」
作者 俳句 点数 柴田 永田 加藤 山下 減点
坂本真二 年の晩嫁連れて子の帰る 5 4 5 5 6  
青島玄武 歯車が連なる霧が深くなる 6.25 5 6 7 7  
坂本真二 残雪や愛車横転大破して 5.5 5 6 6 5  
青島玄武 義太夫の如くに大阿蘇笑ひけり 7 6 7 8 7  
坂本真二 頂は消ゆるにまかす阿蘇野焼 7.25 8 7 7 7  
青島玄武 阿蘇の風八重九重に薫りけり 6.25 6 6 7 6  

決勝戦

加藤いろはさんと青島玄武さんによる決勝戦。

加藤さんは「最前列にいる応援団からのプレッシャーがすごい」とコメント。応援団の方々はもうすでに松山行きの予定を立てたそうです。
対局前から加藤さんの勢いを口にしていた青島さん。決勝戦で対局することになりました。

零番句は「祖母様の大振袖や土用干」です。
序盤から順調に俳句を作っていく2人。青島さんの「日焼子も尻は真っ白大浴場」は会場の笑いを誘いました。加藤さんの彩り豊かな俳句と青島さんの豪快な俳句の対比が目を引く面白い戦いとなりました。

俳句点は両者21点で勝敗が着かず、対局のルールにより句作の残り時間の多い加藤いろはさんの優勝となりました。
決勝戦らしい拮抗した戦いでした。

お互いの健闘を讃える握手
お互いの健闘を讃える握手

決勝戦結果
手番 名前 俳句点 残り時間 時間点 合計 勝敗
先手 加藤いろは 21 4分19秒 0 21 勝
後手 青島玄武 21 4分05秒 0 21 負
決勝戦内容 零番句「祖母様の大振袖や土用干」
作者 俳句 点数 柴田 永田 加藤 山下 減点
加藤いろは 子規の忌の大青空となりにけり 7 7 7 6 8  
青島玄武 大歳の肉屋の裏の夕日かな 7.75 8 8 7 8  
加藤いろは 夕桜ふつと男の真顔かな 7.25 7 7 7 8  
青島玄武 日焼子も尻は真っ白大浴場 6.75 7 7 7 6  
加藤いろは 面白のこの世なりけり蟇 6.75 6 7 7 7  
青島玄武 白百合や三角の海の狭きこと 6.5 6 6 7 7  

審査を終えて。柴田佐知子先生のコメント
「今日ほど緊張することはなかった。俳句の厳しさと楽しさを充分に味わった。」

夏井いつきさんのコメント
「質もスピードも素晴らしい対局でした。加藤さんが松山に来るときには、熊本から大応援団が来るのでは。」

共催いただいた熊本市文化振興課中元副課長のコメント
「文化の力というものは大きいなと感じました。心の復興にもつながったように思います。」

優勝した加藤さんに、俳都松山のロゴマークが入った優勝ボードが手渡されました。
加藤さんには、平成29年11月に松山で行われる俳句対局「第3回松山市長杯」に出場していただきます。

俳都松山ロゴマーク入りの優勝の証をもつ加藤さん
俳都松山でお待ちしています

イベント終了後のお客様の感想(回収させていただいたアンケートより抜粋)

・俳句対局の面白さにひきこまれました。解説が入ると分かりやすく楽しめました。
・すごい“戦い”でした。俳句の醍醐味を充分味わうことができました。
・俳句対局トーナメント戦はびっくりでした。1句詠むのに大変な思いをしている私にとっては、短時間で詠むことの難しさ。素晴らしい戦いでした。
・今まで全く縁のなかった世界に触れ、心から潤うひとときでした。先生のお話がとても楽しく引き込まれました。

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〒790-8571 愛媛県松山市二番町四丁目7番地2 本館5階

電話:089-948-6952

E-mail:bunkakotoba@city.matsuyama.ehime.jp

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