水口酒造店舗兼主屋
更新日:2021年5月12日
正面外観
2階大広間
「水口酒造店舗兼主屋」について
文化財の区分
登録有形文化財(建造物)
指定(登録)年月日
平成28年11月29日 登録
所在地及び所有者(管理者)
松山市道後喜多町975(外部サイト) 個人所有
解説
水口酒造店舗兼主屋は、大正六(1917)年に棟上された、造り酒屋の店舗と住宅からなる兼用住宅である。建物の用途は現在まで変更なく、建具等一部変更があるものの、構造躯体は建築当初のままである。
外観は漆喰塗りの腰羽目板張り、二階は建ちが高く洋風の丸窓を備えるなど大正期の建物らしい自由な雰囲気にあふれる。小屋裏は大広間の中央をトラス構造、その他は和小屋が採用されており、和小屋とトラスの併用という大正期の和風住宅の構造例を示している。一階は、店舗部分として大きな土間を設け、帳場、敷台と玄関を配置する。玄関からは客用前の間と寝室、居室、二階広間へと出入りできるよう、動線が整理されている。
居室部は、6畳の和室と8畳の座敷が並ぶが、座敷は二方に縁を廻らし、書院が設けられる。障子は腰付障子、天井は匙面の棹縁天井。床柱には緋鉄刀木、違い棚には橡が使われており、銘木類を使った大正期の建築らしさが見られる。
2階には近代以降の木造建築らしい24.5畳の大広間があり、南面と東面にかけては欄干が設けられ、階下の庭を眺めることができる。
このように、水口酒造店舗兼主屋は大正期の商家建築の好例といえ、柱と貫を現しにした外観は町並みの風情を形作る建造物である。
