旧鈴木家住宅離れ

　登録有形文化財（建造物）

　令和3年6月24日　登録

　松山市三津一丁目　個人所有

　旧鈴木家住宅離れは、昭和38年頃に2代当主鈴木重義が妻ユキヨの茶室として建築したと伝えられる。敷地の南東に主屋と廊下で繋がれ、主屋の改築に伴い、一体的に建築された。
　平面は北側に6畳の茶室、南側に4畳の和室が配される。
　茶室の北西角には躙口を備え、中央東よりに炉が切られている。また、水屋は北側の廊下に備えられており茶室としての機能を整えている。天井は、丸太棹縁の簾天井で、床柱は赤松を用い、落し掛けにも丸太を用いる。北壁には下地窓、和室との間には、孟宗竹を大胆にあしらった下地欄間、西面には雪見障子と下地窓風の明り取りを設けるなど、茶室内部は数寄屋風の意匠で整えられる。
　外観は、切妻造桟瓦葺で鼠漆喰壁に軸を現し、西面にはやや深い銅板葺の付庇と落縁を設けており、内装と同様に数寄屋風にまとめられている。
　このように、旧鈴木家住宅離れは、東京オリンピックを控え好景気に沸いた昭和30年代後半の港町三津の雰囲気を現在に伝える建造物といえ、国土の歴史的景観に寄与している。