仙波家住宅主屋
更新日:2025年4月7日
「仙波家住宅主屋 」について
正面外観
座敷床
文化財の区分
登録有形文化財(建造物)
指定(登録)年月日
令和7年3月13日 登録
所在地及び所有者(管理者)
北久米町(外部サイト) 個人所有
解説
仙波家住宅主屋は、明治33年(1900年)に建てられた農家住宅で、厨子二階建入母屋造りである。
外観は、木造真壁造り漆喰塗りで柱梁は露わしとなっている。敷地に南面し、棟は東西方向を向く。平面形式は東西方向が長辺の長方形を核として、東に土間、西に諸室が並ぶ。西端には便所が張り出して縁で本体と繋がっている。屋根は本瓦葺きであったが、現在は桟瓦に吹き替えられている。
座敷は建物南西の隅に位置し、南と西の2方に開かれ、廻り縁と濡縁越しに庭を鑑賞する構成となっている。柱と差し鴨居は栂、敷居は桜、天井は竿縁である。高位の賓客をもてなす設えは、由緒のある名家の造りを感じさせる。
北面は東に千鳥棚を備える床脇、西に床の間が並び、床の西面には付書院がある。床柱は他の柱と同じ栂角材、床框は黒柿または黒柿風の洋材、書院窓と欄間は組子障子となっている。
廻縁は床が畳敷きで竿縁天井となっている。濡縁の床板は欅の無垢板を長手方向と直角に敷かれている。濡縁の軒庇を受ける杉丸太の縁虹梁は、南西出隅が元で同じ高さで直行する。数寄屋とは異なり民家的な納まりで安芸地方によく見られる。大工技術の高さが偲ばれる一面である。
このように仙波家住宅主屋は、明治期の厨子二階の民家として原型に近い良好な状態で残されており、造形の規範となっている。
