高血圧症を予防するために
更新日:2024年10月1日
はじめに
血圧とは、血液が流れるときに、血管の壁にかかる圧力のことです。
血圧は1日の中でも常に変動していますが、安静にしているときでも高い状態が続くことを「高血圧」といい、日本では、約4300万人(約3人に1人)が高血圧であると推定されています。
このページでは、高血圧を予防するために大切なポイントをお伝えします。
目次
- 血圧の基準は?
- 高血圧とは
- 高血圧の原因は?
- こんなときは?
- あなたの血圧は大丈夫?
- 家庭血圧を測りましょう
- あなたの生活習慣は高血圧の引き金になっていませんか?
- 生活習慣見直しのポイント
- その他気を付けたいこと
血圧の基準は?
血圧には、血液を送り出すために心臓の筋肉が収縮したときの圧力を表す「収縮期血圧(上の血圧)」と、心臓の筋肉が最も広がったときの圧力を表す「拡張期血圧(下の血圧)」があります。
また、血圧には、測定する場所ごとに目安となる基準があります。
(1)診察室血圧 ・・・病院や健診で測定した場合の目安
診察室血圧は、140/90mmHgを上回ると高血圧と診断されます。
(2)家庭血圧 ・・・家庭で測定した場合の目安
家庭血圧は、75歳以上では135/85mmHg、75歳未満では125/75mmHgを上回ると注意が必要です。
高血圧とは
高血圧とは、安静にしている時でも血圧が高い状態が続くことをいい、一般的には、
診察室で計測したときに、
収縮期血圧 140mmHg以上 かつ(または) 拡張期血圧 90mmHg以上
のことをいいます。
高血圧の原因は?
高血圧には、特定の原因による「二次性高血圧」と、遺伝的な要因や生活習慣などの環境要因が関連して発症する「本態性高血圧」があります。
日本人の高血圧のほとんどは、本態性高血圧であるといわれています。
[特定の原因とは]
腎臓病や内分泌系の病気、薬剤の影響など
[高血圧の原因となる生活・環境要因]
過剰な塩分摂取、喫煙、飲酒、肥満、運動不足、ストレス、睡眠不足、年齢、気温の変化など
こんなときは?
(1)診察のときだけ血圧が高い
診察室での血圧は高いのに家庭での血圧は正常な状態を「白衣高血圧」といいます。
診察室での緊張が原因といわれています。
(2)診察時より家庭血圧の方が高い
診察室での血圧は正常なのに家庭での血圧が高い状態を「仮面高血圧」といいます。
ストレス、喫煙などが原因といわれています。
(3)夜の血圧が高い
夜間(睡眠時)の平均血圧が120/70mmHgより高い状態を「夜間高血圧」といいます。
睡眠不足、ストレスなどによる自律神経の乱れや、心不全・腎不全などの疾患が影響していると考えられています。
(4)朝の血圧が高い
起床後、1~2時間以内の血圧が135/85mmHgより高い状態を「早朝高血圧」といいます。早朝高血圧には、寝ている間も血圧が下がらず朝までずっと高いままのタイプと、朝の血圧が急激に高くなるタイプがあります。
アルコールやタバコ、寒冷のほか、睡眠障害や動脈硬化などが影響していると考えられています。
あなたの血圧は大丈夫?
高血圧には特徴的な症状がなく、測ってみなければ気付くことが難しい病気です。
血圧が高い人のうち3人に1人は、自分が高血圧であることに気付いていない、また、血圧の薬を飲んでいる人の約3割は、適切に血圧管理ができていないといわれています。
自覚症状がないから大丈夫、と安心していると、ある日突然、脳血管疾患や心疾患など、重大な病気を引き起こすかもしれません。
松山市は、全国に比べて死亡率が高くなっています。
家庭血圧を測りましょう
高血圧を早期に発見するには、定期的に血圧を測ることが重要です。
血圧は、年齢を重ねるほど高くなりやすいため、40歳を越えたら、ぜひ、定期的に測定されることをおすすめします。
(1)家庭血圧を測るメリット
- 同じ条件、落ち着いた状態で測定できる
- 毎日測定し、普段の様子を知ることができる
- 季節や体調による変動に気付くことができる
- 内服治療中の人は、値が適切にコントロールできているか自己チェックできる
(2)家庭血圧を測るときのコツ
血圧測定のポイント
(3)血圧計の選び方
高血圧治療ガイドライン2019では、カフを心臓と同じ高さで測れるよう、上腕で測るタイプの血圧計が推奨されています。
(4)測定したら必ず記録しておきましょう
家庭血圧は、病院を受診する際の高血圧の診断に役立つだけでなく、仮面高血圧や白衣高血圧を発見する大切な手がかりにもなります。
また、内服治療中の場合は、血圧が必要以上に下がりすぎていないか、あるいは十分に下がっているかを医師に確認してもらうなど、より良い治療を受けるための重要な情報になります。
家庭で血圧を測定したら、手帳やアプリなどを活用し、値を記録しておきましょう。
あなたの生活習慣は高血圧の引き金になっていませんか?
(1)あなたの高血圧危険度は?
(2)あなたの塩分摂取量は?
塩分の摂りすぎは、血圧を上昇させる原因になります。
あなたの塩分摂取量を確認してみましょう。
塩分チェックシート
塩分チェックシート 2023年版(八幡記念病院)(PDF:1,453KB)
(3)あなたの血管は大丈夫?
あなたの健診結果をもとに、狭心症、心筋梗塞、脳梗塞など動脈硬化性疾患の発症リスクを知ることができます。
40歳未満、80歳以上、家族性コレステロール血症の方はご利用いただけません。
生活習慣見直しのポイント
生活習慣の改善は、血圧のレベルや内服の有無に関係なく、すべての人に重要です。
(1) 塩分は控えめに
塩分の摂りすぎは血液量が増加し、血圧の上昇につながります。
減塩に取り組んでみましょう。
[日本人の塩分摂取量の目標]
男性は7.5g未満 女性は6.5g未満 高血圧の人は6g未満
《減塩のポイント》
- 麺類の汁は残す
- みそ汁はだしをしっかりとって具沢山にする
- 香辛料、香味野菜や柑橘類を取り入れる
- 減塩調味料や減塩食品を活用する
- 練り物など、加工食品の『目に見えない塩分』に注意する
(2) カリウムを多く含む、野菜や果物、いも、海藻をとる
カリウムには、塩分(ナトリウム)を身体の外に出しやすくする作用があるため、塩分の摂りすぎを調節するのに役立ちます。
《カリウム摂取のポイント》
- 野菜が主材料のおかずを1食1皿以上食べる
- 野菜・きのこ・豆・いも・海藻を含めた副菜を、1日5~6皿を目安に摂取する
- スープになどにして汁ごと食べる
- レンジで加熱する
※腎機能が低下しているなどカリウム摂取に制限がある場合は、医師の指示に従ってください。
(3) 適正体重を維持する
脂肪の蓄積は、血管を狭くして血流を悪くします。
《肥満解消のポイント》
- 1日1回体重測定の習慣を付ける
- 糖質や脂質の摂りすぎに気を付け、野菜から食べる
- ウォーキングやサイクリング、水泳などの有酸素運動をする
※運動制限が必要な方は、医師の指示に従いましょう。
まつイチ体操第2弾虎の巻(座って)(PDF:2,624KB)
(4) タバコをやめる
喫煙は血管の収縮を強め、血流を悪くします。
《禁煙のポイント》
- 禁煙する意志を周囲に伝え、協力してもらう
- 禁煙開始日を決め、きっぱりやめる
- 禁煙補助薬の活用など離脱症状対策を立てておく
(5) 毎日の眠りを快適に
睡眠は、副交感神経を優位にして血圧を下げることにつながります。
《睡眠のポイント》
- 睡眠前のカフェインやお酒、タバコは控える
- 日中に活動を行い、昼と夜のメリハリをつける
- 静かな暗い場所、リラックスできる寝衣・寝具で眠る
- スマートフォンやタブレットは寝室に持ち込まない
- 1日7時間を目安に睡眠をとる
(6) 飲酒は適度に楽しもう
長期の習慣的な飲酒は血圧の上昇につながります。
《節酒のポイント》
- 週に1回以上の休肝日をつくる
- 1日あたりの飲酒量の目安
純アルコール量 男性20~30g 女性10~20g
[純アルコール量の計算式]
飲む量(ml)×アルコール度数(度数÷100)×0.8(アルコールの比重)
[純アルコール量20gの目安]
日本酒(度数15度):1合 ビール(度数5度):中瓶1本
その他気をつけたいこと
(1)夏場の対策
気温が上がる夏は、血管が広がるため血圧が下がりやすくなりますが、以下のことに注意しましょう。
- 暑い時期は、体内の水分が不足し血液が濃くなると、血栓ができやすくなり脳梗塞や心筋梗塞のリスクが高まります。水分(水や麦茶)をこまめにとりましょう。
- 就寝時に室温が高いと、身体がうまく熱を放出できず、眠りにくくなります。夜間もエアコンなどを適切に使用し、室温28℃を目安にして眠りましょう。
(2)冬場の対策
寒くなると、体温を逃さないよう血管が収縮するため、血圧が上がりやすくなります。
急激な血圧変化が起こらないよう、以下のことに注意しましょう。
[外出時]
室内から外へ出る際、冷えない工夫を!
上着を着たり、3つの首(首・手首・足首)を温めたりしましょう。
[お風呂]
入浴するときは、脱衣所と浴室を温めておく
お風呂の湯は38~40℃に設定する
長湯は心臓に負担がかかるため、浸かる時間は10分以内にする
お風呂から出るときはゆっくり立ち上がる
[トイレ]
夜間や早朝に布団を出るときは上着を羽織る
便座カバーや暖房便座を敷く
座って用を足す、いきみすぎない
(3)血圧の薬を内服している方へ
血圧を良好に保つには、指示どおりに内服しましょう。
自己中断は危険です!体調に不具合が生じた、薬に対する疑問があるなどの場合は必ず医師に相談しましょう。
年に1度は特定健康診査を受けましょう
松山市国民健康保険に加入している40~74歳の方は、年に1回の健診を無料で受けることができます。
血圧測定はもちろん、心電図や眼底検査では、高血圧による長期の影響が分かることがあります。その他、血糖・脂質など、内臓脂肪症候群(メタボリックシンドローム)のリスクを知ることもできます。
年に1度の誕生日・記念日などの節目に、ご自身の健康状態をチェックしてみませんか?
外部リンク
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