第4回 松山市都市景観賞
更新日:2012年3月1日
概要
【募集対象】
松山市内で平成13年7月以降に完成(改築又は改装も含む)した下記の建造物
個人住宅、マンション、商業施設、工場その他の建築物
装飾塔、記念塔、その他の工作物
屋外広告物
【募集期間】 平成16年11月1日~12月17日
【応募・推薦件数】 27件
【選考会】 平成17年1月24日
【表彰式】 平成17年3月4日 受賞対象の所有者、設計者、施工者を表彰
選考委員会委員(◎委員長)
◎長谷川 逸子 長谷川逸子建築計画工房(株)主宰
菅野 利夫 愛媛県建設業協会松山支部副支部長
原 久雄 愛媛県屋外広告美術商業組合理事長
中岡 数夫 愛媛県建築士事務所協会中予支部長
寺坂 行雄 松山市民文化祭美術展運営委員長
受賞作品
きらめき大賞
きらめき大賞
きらめき大賞
- 名称 道後ぎやまんの庭
- 住所 松山市道後鷺谷町459-1
- 用途 美術館・店舗
- 所有者 (株)道後ぎやまんの庭
- 設計者 (株)竹中工務店 大阪一級建築士事務所
- 施工者 (株) 竹中工務店 四国支店
道後白鷺坂に近接するところにある道後ぎやまんという江戸時代の「びーどろ」や「ぎやまん」、さらに昭和のシャンデリアなどを展示する美術館の奥庭である。広い水盤とガラスの噴水装置のまわりは美しい花々がいっぱいで、その庭を一体化するようにショップやカフェが面している。段差のある道後の敷地形態をうまく生かした庭が美しい環境を創出している。庭は道後の名所となって、まちの人々たちだけでなく観光客を集める場所になるだろうと期待させられる力作です。
きらめき奨励賞
きらめき奨励賞
- 名称 OTI/BLDG(越智ビルディング)
- 住所 松山市永木町2丁目3-9
- 用途 青果市場等
- 所有者 越智清剛
- 設計者 西宮善幸建築設計事務所
- 施工者 (株)野間工務店 松山支店
鉄筋コンクリート4階建ての建築は住宅地のまちなみの中に開放的に現代的都市景観を目指したファサードとして目につく。伊予青果という看板の出ている建物です。前面に亜鉛溶融メッキの縦線のリズミカルなラインが配置され、楽器のような立面と目を引くカラフルな丸穴のつく階段で構成されていて、てらわずそれでいてきちんと設計のされた軽快な家並みをつくっている。
きらめき街角デザイン賞
きらめき街角デザイン賞
- 名称 秋山兄弟生誕地
- 住所 松山市歩行町2丁目3-6
- 用途 住宅(復元)
- 所有者 財団法人 常盤同郷会
- 設計者 新企画設計・赤根設計共同企業体
- 施工者 (株)杉野工務店
この秋山兄弟生誕地整備事業は、既存の大きな和風道場のリフォームと兄弟の新築平屋、さらに二人の銅像のある広場で構成されている。歩行町の真ん中にあるため、審査の日も多くの人が見学していて、その様子からまちのひとつの広場としての機能を果たしていることが伺えた。松山城の近くに位置して、道場も大屋根であることから伝統ある松山にふさわしい雰囲気の中、ホッとするポケットパークとして機能している。
きらめきポイント賞
きらめきポイント賞
きらめきポイント賞
- 名称 いとう小児科
- 住所 松山市土居町805-1
- 用途 診療所
- 所有者 伊藤卓夫
- 設計者 (株)日創設計
- 施工者 大和ハウス工業(株) 愛媛支店
前面にゆったりとしたパーキングを用意して建物はセットバックして小児科にふさわしいスケールで円形プランと円弧屋根を持つシルバーグレーの建物です。円形プランのまわりには植栽と手作りポストや風車、出窓を配置し、楽しさを演出している。その立面の一部に小さなショーケースが埋め込まれ人々の目を引きつけている。この手づくりの輝いていたショーケースはポイント賞にふさわしいと考えた。
総評
「選考委員長 長谷川 逸子」
この都市景観賞は、松山市都市景観条例に基づいて、優れた都市景観の形成に寄与している建築物などを表彰し、奨励を図るものである。建築物をもって行うということは専門家に問い掛けている様子であるが、まちの人たちはどの位の興味が持てるものだろうかと考える。
まちを美しいと感じてもらうには住む人、ひとり一人にそれなりの努力をしてもらわなければならない。とすると建物だけでなく公園や庭、橋や道、塀や生垣、伝統的な街並みや現代的家並みとか建築物だけでなく都市のシーンの美しさを引き出してもらうことこそ魅力あるまちづくりに必要ではないかと考える。市民の参加方法をもっと考えてゆき、次の五回目を迎える前には皆に興味をもってもらう提案と選考のあり方を見直して欲しいと考える。
今回の応募作品は27点でした。共同住宅やクリニックなど多種類の建物が集まりました。審査の一次審査で配布写真と資料で8件を選考し、第二次審査として各々の現地に審査に行き、もう一度戻って議論と投票を繰り返し、各賞を決定していくというプロセスをとりました。
「道後ぎやまんの庭」を大賞としたのは投票結果でしたが、庭は美術館に入場した中にあって、地域への開放性をどう読むのかという点で議論が盛り上がりました。しかし、道後の土地の起伏を生かし、楽しい庭を創出し、多くの人を集客する観光としての場になってゆくことを期待できるほど美しい庭ではないかという結論を持って大賞に選びました。
「きらめきポイント賞」への応募作品は二点、共に一次で選外となり、選ばれた「いとう小児科」は建物としての応募であった。しかし、建物の周りを植栽しながら、そのなかに手づくりの遊具で小児科らしい演出をし、さらに外壁に小さなショーケースを埋め込んであり、そのショーケースの展示がかわいく魅力的だったことからポイント賞を選ばせていただいた。
こうした市民の手づくりのものを選ぶことの喜びを得て、もっと市民を巻き込める景観賞にもってゆきたいという思いにさせられました。
