城山公園(堀之内地区)の整備について
更新日:2021年11月20日
城山公園は、都市公園であるとともに国の史跡「松山城跡」に指定されていることから、公園整備の際は、史跡の保存・活用に配慮しなければなりません。そのため、松山市は、平成13年以降、建物(天守等)や石垣などはもちろんのこと、地下に埋蔵されている溝や建物跡などの遺構も保護しつつ、発掘調査などの成果をもとに、史跡の歴史的価値が伝わるような公園整備に努めてきました。
史跡の保存と現状変更等の制限
史跡「松山城跡」の保存
松山城跡は、江戸時代の城跡として良好に保存され、近世城郭として好例であることから、文化財保護法に基づき、昭和27(1952)年に大部分が国史跡「松山城跡」に指定されています。
「史跡」とは、文化財保護法により「貝塚、古墳、都城跡、城跡、旧宅その他の遺跡で我が国にとって歴史上又は学術上価値の高いもののうち重要なもの(法第2条)」と定められ、わが国の歴史や文化の正しい理解に欠くことができないものです。そのため、国や地方公共団体は、その保存などの徹底に努め(法第3条)、国民は、それに誠実に協力しなければなりません(法第4条)。
史跡の現状変更等の制限
史跡に指定された土地では、建物や工作物の設置、地面の掘削などの現状を変えるような行為(現状変更)又は史跡の保存に影響を及ぼす行為は、原則的に「文化庁長官の許可を受けなければならない(法第125条)」こととされています。遺構の破壊はもちろんのこと、史跡の景観または価値を損なう行為など、史跡の保存や歴史的価値の向上につながらないことは許可されません。
第1期整備と文化庁との協議
城山公園(堀之内地区)は、戦後、市営球場や庭球場などのスポーツ施設、さらには病院や文化施設などが建設され、半世紀余りにわたり中心市街地の便益空間として多くの市民に活用されてきました。
しかしながら、これら施設の老朽化に伴い、建替えについて文化庁や関係機関などと協議を行った結果、史跡松山城跡の遺構や遺物が地下に残されているため、新たな施設の建設は困難と判断し、松山中央公園に市のスポーツ施設を移転しました。
その後、市民や学識経験者などからなる整備検討委員会により平成12年にまとめられた「城山公園(堀之内地区)整備基本計画」に基づいて多角的な検討を進め、文化庁や国土交通省の補助金や交付金などを活用しながら、発掘調査成果をもとに江戸時代の道路や町割りを表現した緑地広場を、平成22年に第1期整備として完了しました。
もちろん、この第1期整備についても、整備計画の策定や工事の設計など、その都度、文化庁と協議し、現状変更等の許可を受けた上で実施しました。これまでの協議の中で受けた主な指導内容は次のとおりです。
- トイレや東屋などの便益施設の設置
公園を利用する上で最低限必要となることから、景観への配慮や地下の遺構を傷めないよう掘削を浅くすることなどを条件に認められました。
- すべり台やブランコなどの遊具の設置
史跡の保存や歴史的価値の向上につながらないことから、たとえ小規模であっても、認められませんでした。
- 文化施設やスポーツ施設、商業施設などの大規模施設の設置
史跡の保存や歴史的価値の向上につながらないことから、サッカースタジアムなどの大規模施設の新設は認められませんでした。また、市民会館などの既存施設についても、当面現状のまま利用を図るものの、建替えは認められませんでした。
なお、国の補助金を受けて整備した箇所を目的以外の用途に転用する場合、一般的には補助金を返還(堀之内地区の場合は29億円)しなければなりませんが、文化財保護法に基づく史跡指定の解除が通常ありえないことから、補助金の返還制度すら無いのが現状です。
第2期整備基本計画
第1期整備から約10年が経過し、市民から北側の未整備区域について早期整備が求められており、改めて史跡としての価値を再整理した上で、新たな発掘調査等の成果や市民の意見、現在の社会情勢等を踏まえた、整備基本計画の更新が必要となっています。
そこで、令和元年度に策定した「史跡松山城跡保存活用計画」とこれまでの整備計画を基に、史跡と都市公園が調和した「城山公園(堀之内地区)第2期整備基本計画」を新たに策定するものです。
今後は、「城山公園(堀之内地区)第2期整備基本計画」に基づき、堀之内北側の未整備地区中心に第2期整備を行います。また、最も重要な三之丸御殿跡(藩庁・藩主の住居)については、詳細な発掘調査を実施した上で、今後その成果を生かした整備を進める予定です。
第2期整備イメージ図
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