わがまちメール 個別避難計画の作成を

意見の内容

 災害時に一人で避難することが難しい高齢者や障がい者などの要支援者(支援が必要な者)のための避難計画が個別避難計画です。令和3年5月の災害対策基本法改正により個別避難計画作成が努力義務となり、概ね5年以内に作成と示されました。松山市の避難行動要支援者の説明にも『あらかじめ要支援者が円滑かつ迅速に避難するための支援体制を整えておく必要があります』とあります。
県内のある自治体ではケアマネジャーや相談支援専門員などの福祉専門職のサポートによる計画作成段階から、今年度は民生委員や自主防災組織のサポートにより比較的軽度の要支援者への作成段階に入っています。その他の自治体でも現段階では計画作成率・進捗率を上げるために試行錯誤を行っているようです。

 では、松山市の個別避難計画の作成状況ですが、ようやく書式が決まりましたが令和6年7月18日段階では計画作成支援者のかかわる個別避難計画作成には取り掛かれてもいないのが現状です。(高齢・障がい・難病分野)
 法改正から三年が経っても開始には到らないような特別な理由が松山市にはあるのでしょうか。

 私は令和3年の災害対策基本法改正以前から松山市の旧個別避難計画書式は形骸化したもので避難計画と呼べる代物ではないこと、また書式の刷新とともに当事者家族の要望を市に伝えて参りました。しかしその結果は『遅々として進まぬ、松山市の個別避難計画』といった状況です。
 松山市ではこの個別避難計画に高齢・障がい(難病)・小児慢性・防災危機など複数の課が分担する形を取っておられますが、良い縦割りとして生かせず『悪い縦割り』にしか私には感じられていません。
 その理由として、
◎松山市の各所管課においてインクルーシブデザインの必要性をそもそも認識できていないと感じている。
⇒個別避難計画はその性質上、高齢・障がい(難病)・小児慢性・防災危機などを分野ごとに完全に切り離して考えることは不可能であり、インクルーシブデザインの考え方で一旦全ての課題や問題を詳らかにした上で計画作成までのマニュアルを構築する必要がある。(例:元々障がい者であると認定されていない高齢者であったとしても身体に著しい機能障がいが認められる者は、障がい者としての視点や判断材料も必要とされるなど)
◎令和6年6月段階でも統括責任者すら配置していなかったため、各所管課担当者ら同士の意識共有や様々な状況下にある当事者たちの理解が進みづらい『悪い縦割り』状況であると感じた。
◎令和6年6月時点で計画作成までのマニュアルも作成できていない。(ここでいうマニュアルとは、要配慮者やその家族はもとより計画作成支援者が必要とする情報や作成手順などが記載されたものをいう)
◎相当数の重度障害者・難病患者分が専門性をもたない高齢者担当課に区分けされている。
などがあります。
 また、松山市では個別避難計画の提出用書式のみ作成することになっていますが、肝心の当事者である要配慮者やその家族の手元にも残るよう最初から二部作成をお願いしていましたが、考慮もされておりませんでした。

 重要な災害対策の個別避難計画がなぜこのような扱い方になるのでしょう。
 “そもそも論” ですが、個別避難計画だからインクルーシブデザインが求められているわけではありません。自治体の福祉力が問われるのが個別避難計画であり、元々自治体の福祉政策にはインクルーシブデザインそのものが求められるものです。
 ですが、「他課の福祉業務内容を知らない、他課所管の当事者(市民)たちの実情も知らない」という悪い縦割り行政のままでは個別避難計画に対処できなくても当然だと私は感じています。
きっと「松山市の福祉全般を熟知した者」が市職員にいて、適材適所の人材配置ができていたならば個別避難計画の取り掛かりまでに何年もかけることもなく、早期に取り掛かっていたことでしょう。その担い手として真っ先に思い浮かべるのは松山市の社会福祉士ですが、その方たちや管理職に「今の松山市の福祉状況とは」と質問した際に即返答可能なだけの人材育成と養成に取り組んでこられたのか甚だ疑問に感じております。

 個別避難計画のような重要な災害対策では専従チームを編成し、各課の担当者たちがスピード感をもって業務に対応しやすくなるよう市長や管理職側が配慮(憂慮)すべきと考えますがいかがでしょうか。
 野志市長と松山市上層部には個別避難計画の重要性を改めて認識し直していただき、実効性(実行性)が伴った個別避難計画作成までの体制づくりを喫緊の課題として早急に構築してください。
『災害に間に合わせる』という意識は、市側と当事者側が共に持ちたいものですね。

性別:不明
年代:不明
公開日:24年08月20日
公開番号:3392
全市 市民・福祉 その他市政

意見に対する答え

 松山市では、現在、個別避難計画の作成を進めています。個別避難計画の作成対象者は、高齢者や要介護認定を受けている方、障害者手帳をお持ちの方、特定医療費(指定難病)受給者証所持している方など様々な状況にあるため、各対象者へのサービスなどの事業を担当している所管課を中心に作成をすることにしています。
 作成は、担当課間で定期的に情報共有の場を設けるとともに、担当者同士でも随時連絡を取り合うなど連携して、個別避難計画の作成を進めています。
 ご指摘いただきましたように、作成対象者の状況は一人ひとり異なりますので、実情にあわせて柔軟に対応できるよう今後も担当課での連携を密にし、関係機関との協議も行いながらできる限り速やかに個別避難計画の作成に努めます。
 また、社会福祉士は、これまで、障がい福祉課、こども相談課、生活福祉業務各課など、福祉の現場で日常的に市民の方から直接相談を受ける機会の多い所属を中心に配置し、育成してきましたが、組織改正に伴い、今年度から福祉推進部を総合調整する長寿福祉課へも配置しています。引き続き「松山市役所の社会福祉士」として求められる能力などを伸ばすため、福祉関係各課からの要望を参考にしながら、適材適所の人材配置と養成に努めていきたいと考えています。

松山市長 野 志 克 仁
(長寿福祉課 扱い)
(障がい福祉課 扱い)
(すくすく支援課 扱い)
(人事課 扱い)
受付番号   265

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