経営者向け介護DXセミナー~ICTと組織文化からアプローチするー介護人材の確保・定着戦略ー~

更新日:2026年9月25日

 松山市では、従業者負担の軽減や業務の効率化に向けた介護DXを推し進め、これまで介護テクノロジー等の展示会、体験会やAIケアプランの実証実験、昨年度からは経営者向け介護DXセミナーを新たに開催しており、今回、第2弾のセミナーを開催しました。

講師

今村 貴志(いまむら たかし) 氏
 株式会社善光総合研究所 介護ビジネスサポート部シニア・コンサルタント

アウトライン

1.人材不足を「採用」だけの問題にしない

 はじめに、介護現場を取り巻く人材不足の状況について、調査データをもとに整理しました。
 人材不足への対応は、新たな人材を採用するだけでは十分ではありません。

 セミナーでは、
   「採用 × 定着 × 生産性向上」
 を一体として考えることの重要性を紹介しました。 

 また、参加者には「何が決め手で、今の職場に勤めようと思ったか」を振り返っていただきました。給与や勤務条件だけでなく、仕事内容、職場の雰囲気、人間関係、働き方など、職場を選ぶ理由はさまざまです。
 こうした振り返りを通じて、働き続けたいと思える職場をつくること自体が、採用にもつながるという視点を共有しました。

2.生産性向上とは「人にしかできない仕事へ時間を戻す」こと

 介護現場における生産性向上について、
   「少ない人数で、もっと働くこと」ではなく、
   「限られた人員・時間を、人にしかできない仕事へ戻すこと
と整理しました。

 そのためには、今行っている仕事をそのまま効率化するだけでなく、仕事そのものを見直すことが必要です。
 具体的には、仕事を見直す際の視点として、次の「6つの打ち手」を紹介しました。
  1.やめる     2.減らす
  3.まとめる    4.変える
  5.任せる     6.デジタルに任せる

また、医療、教育、保育、建設など他業界の取組も参考にしながら、「今までやってきたから続ける」のではなく、目的を確認し、方法を変えられないか考えることの重要性を説明しました。

3.一人のICT担当者に任せない「デジタル中核人材」

 ICTやAIを活用した改善を進めるためには、機器やシステムに詳しい人だけではなく、現場と管理者、ICT、経営などをつなぐ役割が重要です。
 セミナーでは「デジタル中核人材」を、
 ・現場の声を聴く        ・問題を整理する
 ・関係者をつなぐ        ・小さく試す
 ・結果を確認し改善する     ・成果を周囲へ伝える
 といった役割を担う橋渡し役として紹介しました。

 これらを一人ですべて担う必要はありません。
 現場をよく知る人、ICTが比較的得意な人、管理者との調整が得意な人など、異なる強みを持つ職員が協力することが、改善を継続する上で重要であることを説明しました。

4.良い職場づくりを採用広報につなげる

 業務改善は、職員の負担を減らすだけでなく、採用活動にも活用できます。
 例えば、
  ・AIや音声入力を活用し、記録や会議の負担を減らす
  ・訪問先からスマートフォンで記録し、事業所へ戻って入力する負担を減らす
  ・チャットやインカム等を活用し、職員が一人で抱え込まない環境をつくる
  ・職員の声をもとに業務改善を行う
  ・ICT・AIについて学べる機会を設ける
 といった取組は、求職者に対しても「どのような職場なのか」を伝える材料になります。

採用のためだけに新しい魅力をつくるのではなく、日々の改善活動そのものを職場の魅力として伝えるという考え方を紹介しました。

5.ICT・AIは「導入すること」より「仕事の設計」が重要

 後半では、「新しいICTを導入したものの、紙の運用も残り、二重入力となってしまった」という架空事例を用いて、ICTが現場に定着しない理由を考えました。
 ICT導入前後には、少なくとも次の4点を確認する必要があります。
  1.目的:何のために導入するのか
  2.業務整理:紙・手順・役割をどう変えるのか
  3.支援体制:困ったときに誰へ相談するのか
  4.効果確認:何が変われば「導入してよかった」と判断するのか

 また、人・ICT・AIにはそれぞれ得意な役割があります。
 人は観察、判断、対話、ケア、最終確認を担い、ICTやAIには記録、整理、検索、要約、下書きなどを支援させるなど、人がすべてを行う仕事から、役割を分ける仕事へ変えていくという考え方を紹介しました。

 加えて、介護現場の仕事がICT・AIによってどのように変わる可能性があるのか、実演を交えて紹介しました。


 

6.大きく変えず、「小さく試す」

 新しい取組は、最初から事業所全体へ導入する必要はありません。
 セミナーでは、
   1業務・数人・1週間・1つの成果
 など、対象を小さく絞って試し、
   小さく試す → 効果を見る → 修正する → 広げる、またはやめる
 という進め方を紹介しました。

 最後に参加者自身が「自事業所に戻って最初に何をするか」を考え、最初の一歩を具体化しました。
 介護DXは、ICTやAIを導入すること自体が目的ではありません。
   「いつか良くなる」ではなく、「今から良くする」
 身近な業務を一つ見直し、小さく実践することから始めることが、今回のセミナーのまとめとなりました。


 

参加者との質疑応答
  質問 講師回答
1 研修教材の効率化のため、AIを活用したいと考えています。どのような形式のファイルを用意すればよいでしょうか。

AIによって、使用できるファイル形式は異なります。
PowerPoint形式のデータであれば、PDFやGoogleスライド等へ変換することで、AIで利用できることがあります。利用するAIサービスが対応しているファイル形式を確認した上で活用してください。

2 手書きのメモからマニュアルを作成したいのですが、どのようにすればよいでしょうか。

手書きのメモをスキャナで読み取ったり、スマートフォン等で撮影したりして画像データにした上で、AIに取り込むことでテキスト化する方法があります。

読み取り後には、文字の誤認識や文字化け等を確認し、必要な修正を行う必要がありますが、一から入力する場合と比べて、作業を効率化できる可能性があります。

その他、講師の実演等に対して、操作方法等に質疑応答等がありました。

お問い合わせ

介護保険課

〒790-8571 愛媛県松山市二番町四丁目7-2 別館2階

電話:089-948-6840

E-mail:kaigo@city.matsuyama.ehime.jp

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