レッドデータブック2012

種の特徴

体はフナ型で、ヤリタナゴよりもやや太短い。一対の口ひげを持つ。体色は黒みがかり、縦帯はない。全長7㎝。婚姻色の出た雄は全体に緑色がかった暗色となり、背鰭と臀鰭に橙色の幅広い縦帯が出て縁辺は黒く縁取られる。また、吻端には一個の白い瘤状の追星ができる。雌の産卵管は暗色。やや流れのある水路を好み、春～初夏にマツカサガイ等のイシガイ科に産卵する。

分布市内

重信川下流域。

分布市外

濃尾平野以西の瀬戸内海側～鹿児島県北西部。

生息状況

愛媛県下では松山平野のみに分布する。重信川水系では1980年代まで、正式には2個体得られているに過ぎなかったが、近年中・下流域に広く、また、一部の支流や湧水池などに不連続的に生息していることが明らかとなった。

減少の要因

河川改修、圃場整備、水質悪化、乱獲。

特記事項

松前町の河川にみられる現在の個体群は、遺伝的解析の結果、九州地方から人為移入され、同所的にみられるヤリタナゴと交雑している可能性が示されている。地理的に近接する重信川の個体群についても同様な可能性があり、ヤリタナゴ個体群への不可逆な遺伝子浸透を引き起こすおそれがある。一方で、過去に記録された個体を含めて重信川では在来であると可能性も否定できないため、情報不足種と位置づけた。少なくとも松前町の個体群については国内移入種と考えられ、生態系への影響も予測されることから、重信川の個体群を含めて安易な移植放流は厳に慎む必要がある。