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01 漫画家 和田ラヂヲ
「先週より面白いものが描けた時が嬉しい。というか、それに尽きるよね」
ギャグ漫画家。1964年愛媛県松山市生まれ、在住。91年、週刊ヤングジャンプ(集英社)「イキナリどうだ」でデビュー。同年「スカの群れ」を連載開始。独自の世界観を作り出す漫画家として、漫画誌のみならず雑誌、ウェブ、広告など多彩な分野で活躍。2013年からはFM愛媛で「ニンジニアネットワーク 和田ラヂヲの、聴くラヂヲ」(毎週土曜21時O.A)をスタート。
和田ラヂヲ
□ URL http://www4.plala.or.jp/radiow
Q 和田先生はどんなお仕事をされているんでしょうか?

だいたい察しがつくとは思うんですけど、漫画家って大きく分けるとストーリー系とギャグ系に分かれますが、僕はギャグ漫画家です。今年でデビューして23年、インターネットのないアナログの時代からやってます。ファックスで原稿入稿していた時期もありますし(笑)、それ以前は郵便で送ってましたね。毎週、締め切り直前に中央郵便局の夜間窓口に持って行ってね。今ではネットで漫画を描いてるところを中継している人もいますよね。メールで全世界どこからでも入稿できますし。

Q ギャグ漫画ってどんな流れで描くんですか?

オチを作ってから絵を描く時もあるし、絵から浮かぶ 時もあります。絵から作ったもののほうが面白いことが多いんだよね。決めのコマ(心に残る、個性の出る)が浮かぶんだけど、それが出た時はそこから膨らましていくというか、後付けするんだよね。ストーリーの人もそうだと思いますよ。「その週」の展開が決まったら、後はくっつけていくだけでしょ。

Q どうやってネタが生み出されるんですか?

日常生活とは関係ないんだけど、くだらない事を思いついた時にネタ帳に書き留めます。最近はiPhoneのメモを使ったりして。思いついたらすぐ箇条書きにしてる。絶対忘れるから。それを寝かすんですよ。なんかね、寝かしておくといい感じになるんですよ。
頭の片隅にずっと残ってるんだろうね。ネタとネタを組み合わせたりなんかして、書き留めたものを再考する感じかな。やっぱりベッドで横になって考えるのが一番いいよ。寝る前に思いついたりとか…。机の前に座ってると、パソコンでいらんこと始めちゃうからさ(笑)。

Q 漫画を描こうと思ったきっかけは?

デビューは「ヤングジャンプ」(集英社)だったんだけど、毎週新人賞を募集してて。それを見てたら「これくらいならいけるかな」って思って(笑)投稿したのが最初。26歳の時かな。あの時(90年代頃)はまだ景気が良かったから、もし漫画家がダメでもどうにかなるっていう雰囲気だったんですよ。そういう時代の後押しはありました。

Q デビュー以前に自分で描き溜めてたり?

ないない。応募する時に初めて原稿用紙を買ってきて、描いて送ったのよ。応募してすぐに旅行に出かけてたら、その間に電報が届いてて「電話下さい」って。その時に自分が応募書類に電話番号を書いてなかったって気づいたんだけど(笑)、電話くれってことは何かあるのかなって思って早速電話をかけたら「入選しました」って言われて。「えっ!!!」と。
初めて描いたというか、本当に一発目で入選したから「なんやチョロいな」と思ってね(笑)。まぁやっぱりそれからが大変だったけど。誰しもやっぱり一発くらいは面白いのが描けるのよ。ビギナーズラックというか。でも、それを続けていくのがかなり大変。

Q「 ちょっとやってみようか」が今のお仕事になったわけですね。

そう。「試しにやってみようか」は大切だよ。自分でハードルを低く設定してね。今の人は最初っからハードルを高く設定しすぎてるよね。ダメ元でやってみるくらいじゃないと。だって、どんな事でも初めは自分の実力を自分で把握できないし、俯瞰で見れないから。

Q 仕事の醍醐味はどんなところですか?

やっぱり原稿が上がった時じゃないかな。先週より面白いものが描けた時が嬉しいです。自分でも先週より面白いか面白くないかは分かるから、残念な感じだとテンション下がるし。もちろんそういう事がないようにしてる…というかそれに尽きるよね。1週間前よりちょっと進化したかなって思えたら嬉しいですね。
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出版された単行本は30冊以上。イラストの仕事では企業やアーティストとのコラボレーションが多数ある
Q スランプってありますか?

スランプはいつもだよ(笑)。人の漫画なんか読んだらすぐ影響されるから、読まないようにしてる。波があるのは自分でも分かってるから、ダメな時は何もしないね。逆にノリすぎると面白くなくなるんだよ。あれ不思議だよね。ノッてる時に出すと編集者に「なんか和田さんぽくない」とか言われたりして。

Q 編集者からの手直しはあるんですか?

ストーリーは「編集者と二人三脚で作る」みたいな印象があるよね。ギャグも多少はあるよ。指摘されたら僕はすぐ直す派(笑)。人の意見は素直に聞くよ。だから22年続いたのかも。発注者と受注者という関係であっても、僕は編集者と漫画家は同等だと思ってるから。どちらにも才能がないと良いものってできないですし。そういう意味ではクリエイターだけじゃなくて編集者(発注側)を育てるのも大切だと思ってるよ。編集者の目が肥えてないと漫画家(クリエイター)も面白いものが作れないし、逆に漫画家は編集者にはなれないってことを解ってないとね。両輪がうまく回らないと仕事の質は上がらないからね。最近は仲良しこよしでなあなあにすることも多いけど、それは良くないよね。ケンカするくらいがちょうどいいんだよ。

Q デビューからその後、どのように仕事が広がっていったのですか?

「ヤングジャンプ」で賞をとったら、そこでデビューするのを前提にやっていくんです。まずは編集担当者が付いて、その人に毎週、連載しているのと同じくらいの量の原稿を送るんです。多くの新人がそこで潰れるんですが、それによって毎週きっちり描けるかどうかが試されるんです。試用期間みたいな感じかな。その頃は1週間に10ページくらい送ってたかな。後になって結構な量を描いてたんだなってわかったけど、その頃は何の基準もないから「連載するならこのくらい描かないとヤバいんだろうな」って思っていました。
受賞から半年でデビューしたのでスピードデビューではあったけれど、それから半年間で連載が終わったの。9月にデビューして翌年の3月に終了が決まって…。そんな時に「ロッキング・オン」の編集長が会いに来てくれて、まさに連載が終わるタイミングで「ウチでも描いてくれませんか」って話が来たの。で、それをやりながら次の連載に向けてネームを描き溜めていったんです。「ロッキン・ラヂヲ」(ロッキング・オン誌での連載)自体は1カ月に2ページだったから週刊連載に比べれば楽勝だったんだけど、でもあの時「ロッキング・オン」の編集長が声をかけてくれてなかったら、漫画家辞めてたかもしんないね。「なんかやってると誰かは見てくれてるんだな」ってその時初めて思ったよ。なんかやらないとダメなんだなってね。それで今になって、当時、読者として読んでくれていたミュージシャンから「見てましたよ」とか言われると、不思議だな~って思うね。で、その後またヤンジャンにもどるんです。やっぱり自分の作品をどこかで見てくれた人が、声をかけてくれることが多いですね。
Q 和田先生はずっと松山在住ですが、出版社の方から東京に来てほしいと言われたりは?

それはないよ。言われないな~。ひとつ不便なことは、漫画家同士の集いみたいなのになかなか参加できないことかな。たまには仕事の話をしたい時があるじゃない(笑)。でも、それも最近はツイッターとかで繋がれるし、会ってるような感覚になるから。今の時代、地方で漫画家してる人も結構いますよ。何も支障ないもん。

Q 地元でのお仕事は?

たま~にNHKさんに声をかけてもらったりしたけど、そもそも地方では媒体があまりないからね。あとはイラストをぽつぽつ。でも、実は絵を描くの苦手なのよ。ギャグを考えるのは好きなんだけど(笑)。もちろんお願いされるのは嬉しいんだけど、作品とは違うから。僕は数年前まで仕事関係の知り合いなんか松山に誰もいなかったんですよ。「タウン情報まつやま」や「四国旅マガジンGajA」(SPC出版)といったローカルの雑誌や、「MATSUYAMAまちサーベイ」(http://mmsurvey.jp)など、街のイベントに声をかけてもらいだしてからかな。こっちでの知り合いが増えたのは。
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Q 最近では漫画以外でもご活躍を!

昨年の4月からFM愛媛で「和田ラヂヲの、聴くラヂヲ」という番組がスタートしました。去年はそれしかやってないかも(笑)。ラジオなんかやったことないから最初はどうなるかわかんなかったけど、もうすぐ1年になりそうです。これはね、Podcastでも配信しているから全世界で聴くことができます。

Q 今後やってみたいことはありますか?

いや~。漫画描かなきゃって思ってますね(笑)。本業 をちゃんと。でも、面白そうなことはやりたい思ってるよ。基本的には断りませんからね。