都市整備委員会『交通まちづくりについて』

更新日:2022年2月9日

調査期間

令和2・3年度

テーマ選定の経緯

 本市は、城山を中心に、役所や学校、会社や病院、デパートや商店街、そして大きな公園があり、最近ではマンションがたくさん建設されるなど、生活に必要な施設が市内中心部に凝縮している。また、今後の人口減少や高齢化社会を見据え「コンパクトシティ・プラス・ネットワーク」、つまり中心市街地の集積度を高め、郊外地との移動に関して、環境やお財布に優しい公共交通機関を充実させようとするまちづくりの基本方針を掲げている。本市はこれまでに、ロープウェー街、道後温泉本館前、大街道口、そして花園町通りの歩道を広げ自転車道の整備等により、お年寄りや障がい者にも優しく、景観的にも明るくきれいに整備してきたことで、人通りや通りに面したお洒落な店舗も増えてきた。その結果、地価も上がり、国や各種団体から多くの賞もいただき、県外から多くの方が視察に訪れるなど、内外から高い評価を受けている。また、復活運行した坊っちゃん列車は、今や道後温泉、松山城に次ぐ第三の本市の顔として定着している。

 平成25年12月4日に公布・施行された交通政策基本法で、国が交通を国民のライフラインと位置づけ、行政が地域の特性に応じて公共交通網の維持や支援の責務を明文化したことを受けて、本市が公表したマスタープランでは、交通結節点周辺を集客や集住施設の立地をしやすくし、それらを線で結ぶ幹線道路には、大量輸送が可能なバスや電車、そして交通結節点までの支線には小型のバスやタクシー、さらに中山間地域や過疎地域には、自家用車の共用利用等、土地利用と交通を合理的かつ有機的に結びつけている。実際、令和3年度から山間部のバス路線が廃止されたことに伴い、地域住民の生活実態にあったタクシー利用のデマンド交通へと転換した。また、市内中心部に近い地域では、民間主導で区域内の病院やスーパー、最寄り駅までの循環タクシーの実証実験も始まっている。

 今後は、5GやAI等の急速に進む情報通信技術を生かしたサービスである「マース(Mobility as a Service)」、四国新幹線の「整備計画への格上げ」、全国で17都市にしか残されていない「路面電車に光を当てた取組」や公共交通機関の「シームレス化」、さらには、SDGsの取組の一環として、島しょ部や中山間地域の足としても期待されている自然エネルギーを活用し低速走行する電動自動車「グリーンスローモビリティの導入」などに対応していく必要がある。

 また、本市議会において、平成22年、都市活性化調査特別委員会での提言が第6次総合計画に反映され、JR松山駅や松山外環状道路整備等、本市都市基盤整備の大きな推進力となった。そこで、次期総合計画策定も視野に入る中、議会の存在意義と継続性を担保する上で、これまでの各種取組の総括及び上記の経緯も踏まえ、テーマ選定に至った。本提言書が次期総合計画策定の基礎資料となり、本市が目指す「コンパクトシティ・プラス・ネットワーク」構築推進の原動力となれば幸いである。

市への主な提言事項

1 道路・施設整備の促進

(1)基幹道路の整備促進

 松山外環状道路空港線、都市計画道路等の早期整備に努める。

(2)主要施設の整備

 建物の建替え等、物理的な制約があり、バリアフリー化ができていない伊予鉄大手町駅、市役所前電停、拠点施設(県病院等)までの通路等、関係者と協議しながら整備促進に努める。

(3)新たなバリアフリー整備マスタープランの策定

 国の動向(新たなバリアフリー整備のガイドライン等)にあわせ、新たなマスタープランを策定するなど、計画的に整備を促進する。

(4)市中心地域の回遊ルートの整備

 本市議会が提言した「ばんちょうプラン」(本庁舎周辺市有地の将来的グランドデザインに関する提言書)にある、堀之内~花園町~松山市駅~銀天街~大街道~県庁~市役所~南堀端の回遊ルートの整備を進める。

(5)トランジットモールの本格導入

 電気自動車、グリーンスローモビリティ等の新たな技術の実用化により、トランジットモールの本格導入に努める。

(6)駅前整備

 2大結節駅である松山市駅とJR松山駅周辺整備に関して、自動車交通を制限し歩行スペースや広場の拡充、公共交通のシームレス化やユニバーサルデザイン、ファサード整備等、官民が連携し早期完成に努める。

(7)路面電車延伸

 路面電車のJR松山駅西側延伸は、公設型上下分離方式も選択肢として計画的に進める。また、将来の空港延伸は県と連携し、中・長期的なビジョンを検討する。 

2 公共交通等の充実

(1)公共交通利用促進

 ループ・フィーダーバス、パークアンドライド、サイクルアンドライド、ゾーン運賃制、ICカードの共通化等、各種の取組みを総動員し低廉で利便性の高い公共交通環境を整備し、公共交通分担率を高める。

(2)公費負担の拡充

 路線バスの不採算路線や公共交通空白地域(デマンド交通含む)に対する公費補助のあり方について、県市の応分の負担について明確な基準を策定し、支援を拡充する。

(3)高齢者移動支援

 1.高齢者の移動の不便を解消するため、公共交通網整備、優待パス制度の拡充、公共交通料金の割引等への行政からの支援を拡充する。

 2.高齢者の運転免許証返納後の代替交通手段として、公共交通の利用を促進する。

(4)タクシー政策

 ドア・ツー・ドアの利便性の高い手段として、路線バスを補完するデマンド交通、高齢者や障がい者、妊産婦等、交通弱者対策等福祉部門と連携した政策等、公共交通として明確に位置づけるとともに、運賃補助などの支援を拡充する。また、長年懸案の繁華街や観光地周辺での客待ち(路上駐車)対策は、乗降場所や待機スペースを確保したうえで、警察と連携し実効的な方策を実施する。

(5)自転車等対策

 1.繁華街(特に市駅前)では放置禁止区域の拡充や、自転車に乗らずに押し歩きする区域(押しチャリ区域)の設定により、歩行者の安全を確保する。

 2.通勤や通学が多くを占めている二輪車の放置を防止するため、企業や学校への協力を強化する。

 3.駐輪場を効果的に配備し使用率を向上させる。

 4.シェアサイクルシステムを構築する。

 5.自転車の通行に配慮した空間(自転車専用道や通行できるエリアの拡大)を整備拡充に努める。

 6.大型バイク(125ccを越える)が使用できる駐車場を整備する。

3 交通政策の推進

(1)庁内体制

 交通政策は、高齢者の移動を促進し、健康長寿社会に寄与することによる医療費の縮減、マイカーから公共交通への転換による地球温暖化対策、まちなか滞留時間の増加により、飲食や買い物の機会が増えることにより地域経済が潤う等、多面的な効果が期待できる。このようなクロスセクター効果の考え方を導入し、庁内横断的に連携協力しながら各種制度の拡充に努める。

(2)官民連携

 公営交通を持たない本市にとって、地域の公共交通は、行政、事業者、地域住民の三位一体の連携・取組により維持することや、地域公共交通会議等の役割は、ますます重要になってくる。また、地域内分権や住民自治の視点で、まちづくり協議会等との連携も期待できる。特に中山間地や島しょ部等の過疎路線は、採算性も必要だが、行政には「地域の足を守る」という考え方で、公費負担の拡充や住民ニーズにあった交通の形態を考慮し交通網の維持に努める。

(3)計画と法制化

 国の関連法や制度改正に臨機応変に対応しつつ、マスタープランである松山市地域公共交通計画等を適宜見直し、住民の理解と協力を得ながら各種取組を進める。更に、国の基本法に準じて、各種取組や計画の拠りどころとなる交通まちづくりの法制化「(仮称)松山市交通まちづくり条例」について検討する。

(4)未来の交通、新たな移動サービスや技術への対応

 四国新幹線、路面電車の延伸、松山外環状線の開通等、中長期の取組については、大局的見地に立ちつつも、社会経済状況や市民意識に配慮し、市民に対し適切に情報開示し、徹底した説明責任に努めること。また、今後のAIや5G等、自動運転や急進的な情報通信技術を駆使した新たな移動サービスに対して、既成のシステムとのバランスをはかりつつ市民ニーズを的確に捉え、その動向に柔軟に対応する。

お問い合わせ

市議会事務局

〒790-8571 愛媛県松山市二番町四丁目7-2 別館5階

電話:089-948-6652

E-mail:gikai@city.matsuyama.ehime.jp

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