平成28年7月26日 「平成27年度松山市財政事情の公表」について ほか

更新日:2017年6月19日

日時:平成28年7月26日(火曜日)午前11時30分から
場所:本館3階第1会議室
記者数:14人

議題

●平成27年度松山市財政事情の公表について
●子規・漱石生誕150年記念第15回「坊っちゃん文学賞」の募集について

会見要旨

それでは、本日の議題2件について説明します。
まず、「平成27年度 松山市財政事情の公表について」です。
一般会計の平成27年度決算収支を前の年度と比較しますと、歳入は、総額で、41億9,639万円、2.3%増の1,901億232万円で、過去最大になりました。
収入増の主なものは、地方消費税交付金が、地方消費税率の引き上げに伴う、地方消費税収の増加などで、41億747万円、73.4%の増になったほか、繰入金が、小学校、中学校の校舎や公共施設の耐震化をはじめ、子育てや教育環境の整備などに、財政調整基金やのびのび教育推進基金などを取り崩して充当したことで、27億8,977万円、90.4%の増になりました。また、国庫補助金も国の緊急経済対策に伴う地域商品券の発行や子ども・子育て支援新制度の開始に伴う、保育施設運営費の給付増加などで、14億9,733万円、3.9%の増になりました。一方、収入減の主なものは、地方交付税が、地方消費税交付金などの増加に伴う基準財政収入額の増加などで17億1,856万円の減になったほか、財産収入が、前の年度に市営住宅の売却があった影響などで11億741万円の減、また市税が、税制改正による法人市民税の減少などで8億2,842万円の減になりました。
次に、歳出は、総額で47億6,718万円、率にして2.7%増の1,845億7,024万円で、こちらも過去最大になりました。
まず、子ども・子育て支援新制度に基づく施設給付をはじめ、待機児童の解消に向けた認定こども園への移行を希望する施設への補助などで、386人分の保育定員を増員したほか、児童クラブは、15のクラブを増設し、現在は98クラブで約5,000人の児童の利用が可能になるなど、子育て環境の整備に積極的に取り組みました。また、2学期から供用が開始される余土中学校の移転整備をはじめ、東雲小学校と東中学校との小中併設型校舎の建設や、その2校と隣接した教育研修センターの整備など教育環境を充実しました。さらに、段階的に拡充してきた子ども医療費の助成は、県の助成もいただき、入院費を中学3年生まで無料化したのをはじめ、ひとり親家庭の医療費助成の対象を一定の所得制限を設けるものの、父子家庭にも拡大し、子どもが20歳に到達するまで入院費用、通院費用を無料化したほか、特定健康診査の無料実施などにも取り組みました。
次に、公共施設の耐震化は、小学校、中学校の校舎などを中心に推進したほか、救命率をさらに高めるため、県にご協力いただき県立中央病院の西隣に、中四国初の常駐型救急ワークステーションを開設し、365日24時間、医師が同乗できる救急出動体制を整えました。加えて、防災士の人数が日本一を誇る本市ならではの取り組みとして、愛媛大学と連携した即戦力の防災リーダーを養成する事業や、それぞれで活動していた防災関係団体が連携し、地域防災協議会を設立するなど、全国でも例を見ない取り組みで地域防災力を強化し、防災・減災対策を推し進め、市民の安全・安心を確保しました。また、官民一体で実現した一番町大街道口の「アエル松山」の開業をはじめ、JR松山駅周辺や松山外環状道路など50万都市にふさわしい都市基盤の整備に取り組みました。
そして、地元中小企業の受注・販路拡大への支援や経営基盤強化のほか、「瀬戸内・松山」構想を柱に据えた戦略的な観光誘客をはじめ、過去最高の63校、1万642人を記録した修学旅行の誘致、また、蜷川実花さんにメインアーティストを務めていただき大変好評を得ました「道後アート2015」のほか、椿の湯の改築整備に取り組むなど、国の内外へ道後・松山の魅力を発信しました。また、昨年11月には「第1回日本アボカドサミット」を開催し、国産品の少ないアボカドライムの一大産地を目指すなど持続可能な農業の構築や果樹産地の生産力向上のほか、まつやま農林水産物ブランドのトップセールスなど、農林水産業の活性化も推進しました。
このほか、市民生活に関連の深い道路や交通安全施設、下水排水路、農道などを整備し地域経済の活性化も合わせ、市政の重要課題に積極的に取り組みました。
これらの結果、歳入総額と歳出総額の差引額から翌年度へ繰り越すべき財源を控除した一般会計の実質収支は、24億2,095万円になり、58年連続で黒字を確保しました。
また、平成27年度と平成26年度の実質収支の差引額から、黒字要素や赤字要素を考慮し算出する実質単年度収支は、26億5,309万円の赤字になりました。これは、小学校・中学校など公共施設の耐震化をはじめ、児童クラブの増設や余土中学校、東中校区小中連携校、教育研修センターの整備のほか、えひめ国体に向けた施設整備などに、これまで培ってきた財政的体力を生かし、基金の活用など財源対策をしたためです。
なお、市債残高は、将来負担を軽減するため、借り入れの抑制に努めてきたことなどで、平成27年度末には、特別会計と企業会計を合わせた市全体で、前の年度から30億572万円、0.9%の減になり、10年連続で減少しています。このうち、臨時財政対策債は、地方財政収支の不足額を本来、地方交付税として配分されるべきところ、国の財源不足のため、地方債に振り替えていますが、残高は45億4,247万円の増で、この影響を除くと、75億4,819万円、3.0%の減になり、今後も市債残高の減少に努めていきたいと考えています。

次に、「健全な財政運営へのガイドライン」に関し、2つの指標について報告します。
まず、「財政調整基金比率」は、子育て・教育環境の整備などに財源対策で、前の年度から1.4ポイント減の17.1%になりましたが、目標値である標準財政規模の10%以上を確保できています。また、「経常収支比率」は、87.7%で、子ども・子育て支援新制度に基づき施設給付が増加した影響などで、前の年度より1.2ポイント増になったものの、目標値である「90%未満」の範囲内に留まっています。いずれの指標も、目標値を達成しており、平成27年度決算でも、財政運営の健全性は一定確保できていると考えています。
しかし、今日の地方財政は、歳入面では、消費税率引き上げを再延期したことでの地方消費税交付金や地方交付税への影響をはじめ、税財政制度の見直しや、トップランナー方式の導入と合併算定替えが終了したことでの地方交付税への影響など、一般財源の確保が、より厳しくなると見込まれます。
一方、歳出面では、社会保障関係経費の自然増をはじめ、子育て・教育環境の整備、防災・減災対策や老朽化した公共施設の更新などに加え、地方創生の実現に向けた取り組みなど、今後も財政需要の増大が避けられないため、一層厳しい財政運営になると思っています。そこで、今後は、これまで以上に健全な財政運営に配慮することを念頭に置くなかで、「知恵」と「工夫」を凝らしながら、いきいきと笑顔で暮らせ、幸せが実感できる活力とにぎわいに満ちたまちづくりに全力で取り組んでいきたいと考えています。
次に、「公営企業の業務状況について」ですが、平成27年度は、春先から降雨に恵まれ、農業用水の取水時期を迎えても、石手川ダムの貯水率、地下水の水位ともに大きく低下せず、2年連続して水運用の安定した年になりました。一方、年間給水量は、約4,990万立方メートルで、前の年度と同程度で推移し、1日当たりの平均給水量は前年度からわずかに減少しました。これは、夏場の水需要期を含む上半期に平年より200ミリ以上も多く雨が降り、日照時間が短かったことや節水機器の普及などが要因と考えています。このような状況のもと、水道事業会計の経営成績ですが、会計基準見直しに伴う移行経費などの特別な支出が平成27年度はなかったことに加え、原油価格の下落で電気料金が減額したことや企業債の支払利息が減少したことなどで、公営企業局独自の経営成績の判断基準である「単年度実質収支」は約5億9千万円と、10年連続で黒字を確保することができました。
次に、平成27年度の主要な事業ですが、平成28年度の供用開始に向けて、これまで取り組んできた久谷地区や怒和地区の水道施設の整備事業が完了し、より良質な水を、安定して給水できるようになりました。また、救急医療機関14カ所への給水ルートを確保するため、これまでに完了した6カ所に加え、新たに2カ所、梶浦病院と渡辺病院への耐震化工事を終え、水道事業全体では約8キロメートルの水道管を耐震化しました。そのほか、北条浄水場が完成し稼働を開始するなど、「水道ビジョンまつやま2009」に掲げる将来像「安らぎと潤い、豊かな暮らしを支える水道」の実現に向けて取り組んでいます。

最後に、「公共下水道事業について」です。平成20年度の企業会計導入以来、初めて、単年度収支の黒字を達成しました。
主な要因は、「補償金免除繰上償還制度」で金利の高い企業債を返済し、後年度の利子負担を軽減させたことや、市場金利の低下で、支払利息が減少したことのほか、処理場を包括的に業務委託したコスト縮減が挙げられます。加えて、投資効果の高い地域を計画的に整備し、積極的に接続勧奨し収入増加を進めたほか、中四国初の取り組みとして平成27年度から新たに開始した消化ガス発電の売電利益などによります。また、汚水処理に必要な維持管理費を賄うため、やむを得ず、平成25年度に実施した使用料改定も、今回の経営改善の大きな要因の一つで、市民の皆さんのご協力に感謝しています。なお、企業債などの借入金残高は、平成27年度末時点で、1,341億円で、平成20年度末と比べ、約137億円、減少しています。今後もさらに経営を改善していくため、企業債残高の減少に努めたいと考えています。
次に、主要事業ですが、下水道普及率を高めるため、市内4処理区で汚水管渠の面整備を進めるとともに、北部処理区の内宮地区まで事業計画区域を拡大しました。また、重点事業として取り組んでいる浸水対策事業では、和泉雨水排水ポンプ場が供用を開始し、「重点10地区」の整備が概ね完成したほか、堀江第1雨水排水ポンプ場の土木建築工事にも取り掛かるなど、浸水被害の解消に取り組みました。最後に、経営の健全化を進めるため本市が独自に定めた「経営健全化のためのガイドライン」の8つの指標では、「処理区域内人口1人あたり汚水維持管理費」は、目標数値を若干上回りましたが、今年度は施設改修が例年より増え、維持管理費が増加したためで、そのほかの項目は順調に推移しており、経営の健全化が着実に進んでいます。

次に、子規・漱石生誕150年記念第15回「坊っちゃん文学賞」の募集について説明します。
「坊っちゃん文学賞」は、松山市の持つ文学的土壌を背景に、平成元年の市制施行100周年を機に創設され、新しいタイプの青春文学の創造と、松山の文化的なイメージアップを目的にしています。過去の大賞受賞作品では、第2回の「魚のように」が、NHKでテレビドラマ化されたほか、第7回の「卵の緒」は、NHK-FMでラジオドラマ化されています。第4回の「がんばっていきまっしょい」は、映画や連続テレビドラマ化されるなど、話題性のある文学賞に育ってまいりました。また、第2回坊っちゃん文学賞受賞中脇初枝さんが原作を書き、映画化された作品が、昨年の第37回モスクワ国際映画祭コンペティション部門で最優秀アジア映画賞を受賞しました。このように、坊っちゃん文学賞をきっかけとしてデビューされた方が活躍されており、大変喜ばしく思っています。応募数は、毎回1,000点前後を維持し、全国の自治体主催の文学賞の応募数が伸び悩み、休止や廃止する例が見られるなか、屈指の応募点数でアマチュア作家の登竜門として、全国的に認知され、定着してきました。
これも、全国の作家志望の皆さんの情熱と、周知などマスコミの皆さんの協力があってこそだと思っています。
さて、第15回の募集の概要ですが、募集期間は、本日、平成28年7月26日(火曜日)13時から平成29年6月30日(金曜日)までの約1年間です。審査は引き続き、冒険小説、青春小説、旅に関するエッセイ集などを執筆され、「アド・バード」「岳物語」など著書が多数あり、写真や映画でも活躍されている椎名誠さん、地元松山市出身で作家、脚本家として著名であり、TVで放映された「夢千代日記」などで人気を博した早坂暁さん、明治大学野生の科学研究所所長で、著書に代表作「チベットのモーツァルト」ほか多数ある中沢新一さん、現代文学を代表する作家、明治学院大学国際学部教授で、代表作「さよならギャングたち」の著者、高橋源一郎さんの個性豊かで著名な4人の先生方にお願いしています。大賞受賞者には、賞金200万円を贈るほか、受賞作品は、今回から若い世代を中心に、より多くの方にご覧いただける株式会社マガジンハウスの情報誌『Hanako(ハナコ)』に全文掲載される予定です。
また、今回、「坊っちゃん文学賞」は第15回の節目で、審査発表する平成29年は、子規・漱石生誕150年を迎えることも記念し、新たに「ショートショート部門」を設けることにしました。ショートショートとは、原稿用紙15枚以下で、アイデアとそれを生かした結末のある短い小説のことですが、1人でも多くの方に、気軽に創作活動に取り組む機会にしていただき、坊っちゃん文学賞の応募数拡大を目指します。審査は、松山市出身で、「海酒」が樹立社ショートショートコンテストで最優秀賞を受賞し、若手の旗手として活躍中の田丸雅智さん、本市三津浜在住で、フランス出身の翻訳家、ウエス・じゃん=まーくさん、本市出身で、俳句甲子園をきっかけに俳句をはじめ、俳人として幅広く活躍する、神野紗希さん、本市、人気4コマ漫画「よっくんといっしょ」の著者である、漫画家の水鏡なおさん、の松山市にゆかりのある文化人4名の方にお願いしています。
これまでの「坊っちゃん文学賞」の歴史を大切に守り育てていくことはもちろん、第15回の節目にふさわしい新たな取り組みで、多くの皆さんの創作意欲を高めるきっかけになるとともに「文学のまち松山」のイメージを力強く全国にPRし、より質が高く、独創性に富んだ作品が集まる文学賞になることを期待しています。ご協力をよろしくお願いします。
説明は以上です。

質疑応答

【財政事情の公表】
(記者)
実質単年度収支はこの2年赤字が続いているが、この傾向はいつまでと見込んでいるか?
(理財部長)
財政調整基金を入れた結果、このように赤字になっていますが、今後、国体や公共事業もありますので、なかなか厳しい面があると思っています。
(記者)
当面続くのか?
(理財部長)
はっきりとしたことは申し上げられませんが、やはり財政調整基金を入れないと、例えば、国体ですとか社会保障経費とかがありますので、まだしばらく続く可能性もあるということです。

【坊っちゃん文学賞】
(記者)
第15回を記念して、新しい部門を新設するのは、初めての試みか?また、今回限りか?
(市長)
はい、ショートショートは初めてです。まずは、1回やってみて、皆さんの反応を見てみたいと思っています。
(記者)
通常の小説に比べると、気軽に参加しやすい感じもするが?
(市長)
そうですね、比較的取り組みやすいかなと感じています。
(記者)
こういう部門を通じて、生誕150年を全国に広める狙いもあるのか?
(市長)
そうですね、よく申し上げますけども、全国に市の数でおよそ800、町の数でおよそ800、村の数でおよそ200と、全国1800とか、1700でしたか、そういった自治体がある中で、どこでも文学的な土壌があるわけではないんですよね。そうした中で松山は、文学的な土壌があります。先ほどお伝えしましたが、全国の自治体主催の文学賞って、ちょっと作品数が伸びなくて休止している、廃止しているところがある中、職員の皆さんもよく頑張ってくれて、またメディアの皆さんのお力添えのお陰もありまして、常に千点前後という応募数を誇っています。
やはりこの「坊っちゃん文学賞」を伸ばしていきたいという思いで、第15回ということで、また来年、子規・漱石生誕150年ですので、ショートショート部門を設けました。

【ポケモンGO】
(記者)
ポケモンGOで観光客誘致を何か考えているか?
(市長)
今のところは、私の感想としては、あまり詳しく知らなかったんですが、総合公園にもポイントがあるんだそうですね。皆さんも取材されていましたが、城山公園にもポイントがあるということで、こうして城山公園、総合公園に多くの皆さんが訪れていただいているのはありがたいことだなと思っています。
ただ、皆さんの取材でも、道後温泉のことが出ていましたけども、やはりマナーやルールを守って、ということが大事かと思いますので、マナーやルールを守りながら、楽しんでいただきたいと思っています。
(記者)
積極的に活用していくことは?
(市長)
今のところは特にないですね。
(記者)
道後温泉でも注意を呼び掛けていたが、スマートフォンに関するトラブルはないか?
(市長)
今のところは特にないです。

【相模原障害者施設】
(記者)
相模原の事件で多数の死傷者が出ているが、行政の立場としてどう見ているか?また、現時点での対応は?
(市長)
今日、私も朝のニュースで、多くの方が亡くなられている、また負傷されているというのを知ったところで、詳しい内容はまだ把握できていないので、まだ、今の段階ではなかなか申し上げることは難しいですが、やはり市民生活全てで、安全で安心であるということが大事だと思います。

※質疑応答は内容を要約しています。

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