平成28年1月4日 平成28年松山市年賀交歓会

更新日:2016年2月17日

 皆さま、明けましておめでとうございます。
 皆さま方には新年の大変お忙しい中、このようにお集まりいただきまして、また、愛媛県の中村知事、そして、愛媛県議会の本宮議長さんをはじめ、多くのご来賓の方々、そして、関係団体の皆さま方と、松山市の年賀交歓会を開催できますことを大変嬉しく思います。

 嬉しいと言いますと、おかげさまで昨年は、市民の皆さん、また、民間の皆さま方と一緒に進めてきたさまざまな事業が実を結んだ事を実感できる年でした。大変嬉しく思っています。それを今日はできるだけ分かりやすく、今の松山市の取り組みや、私の思い、ビジョンなどを述べさせていただいたらと思います。
 今日はできるだけ分かりやすくということで、映像を交えてお伝えさせていただいたらと思います。特にビジョンというものはなかなか分かりにくい、見えにくいものですので、映像を使いながら述べさせていただいたらと思います。

 さて、一昨年の事になりますが、道後温泉本館改築120周年を記念して、温泉とアートを融合した「道後オンセナート2014」を地元の方々と開催しました。昨年はご存じのように、写真家や映画監督として活躍されている蜷川実花さんをメインアーティストにお迎えしました。皆さんご存じのように、5月にはラッピングした市内電車をはじめ、7月には浴衣、10月には道後温泉本館など道後地域が鮮やかに彩られました。
 特に若い女性のお客様に好評をいただきまして、昨年末には楽天トラベルの「ココロ潤う。おんな一人旅に人気の温泉地ランキング」で道後温泉が2年連続で1位をいただきました。
 「蜷川実花×道後温泉 道後アート2015」は、今年の2月29日(月曜日)までお楽しみいただけます。

 そして、次です。道後温泉椿の湯、リニューアル後のイメージ図も発表されました。これは建築界のトップランナーの一人で、日本建築学会の作品賞を受賞した、東京大学の名誉教授、内藤廣先生にさまざまご提案をいただいています。道後のまちづくりもよく知っていらっしゃる方です。
 時は飛鳥時代の596年、聖徳太子が道後に来られ、湯に感激され、碑文を建てたと言われています。ほかにも、女性の帝、斉明天皇の来浴、中大兄皇子といわれた天智天皇の来浴の歴史がありますが、いずれも飛鳥時代です。
 そこで、外観は飛鳥時代のイメージで建築します。建物の中は、1階の浴室には男性50名、女性50名程度がそれぞれ入浴できる大浴場、それに併設した露天風呂。2階には、道後温泉本館の皇室専用のお風呂「又新殿」は観るだけですので、この「又新殿」を再現した特別浴室を設けます。飛鳥時代の女性が身に着けて湯に入ったといわれる肌着、「湯帳」を着て、古代の入浴が体感できます。こうすることで、肌を見せたくない外国の方、また、手術などの傷跡を気にされる方も入浴が楽しめます。休憩室は、約60畳の大広間と5つの個室で、湯上りにはお茶のおもてなしや、縁側から中庭を眺めてゆっくり楽しめます。平成29年度に完成の予定です。

 今度は、大街道・銀天街の話です。
 中心商店街は宝です。全国では、すっかり市街地が衰退してしまった所もありますが、昨年8月に、「ラフォーレ原宿松山」跡地に「アエル松山」が7年7カ月ぶりにオープンしました。皆さん、ご存じのことです。オープンの前後で、通行客が倍増したのは嬉しいニュースでした。
 「ラフォーレ原宿松山」は、東京の森ビルさんのお持ちの物件でした。森ビルさんは、東京の「表参道ヒルズ」や「虎ノ門ヒルズ」をお持ちの大きな、大きな会社です。実は、「ラフォーレ原宿松山」が、残された唯一の地方案件でした。リーマンショックもありましたので、松山から撤退という話も事実考えられたそうです。しかし、森ビルの前会長の森稔さんの愛読書は、小説『坂の上の雲』でした。松山市の『坂の上の雲』のまちづくりに共感され、松山の発展を願うという思いから、再開発を決断してくださいました。市役所職員も粘り強い交渉に努め、今に至ります。
 中村前市長さんをはじめ、力を貸してくださった方々に心から感謝を申し上げます。

 ここで私の初夢を披露したいと思います。
 まちづくりは近い10年先、20年先ではなくて、将来の姿を思い浮かべながら進めるものだと思います。2016年の30年先で、2046年。ちょっとキリが悪いので、私は2050年の中心市街地の姿を思い浮かべています。
 題して、「松山中心市街地2050(にーまるごーまる)ビジョン」です。松山の特徴としてコンパクトシティが挙げられます。お城を中心に、オフィス、金融機関、学校、病院、商店街がコンパクトに集まっている。全国に約1700の市区町村がありますが、その100分の1の割合、全国でわずか17都市でしか走っていない路面電車が走っている。この「コンパクトシティ」、そして「公共交通」という宝を生かすべきです。
 昔は郊外に住んでいたけれど、年をとってきて運動能力が落ちてきた、視力も落ちてきた、交通事故を起こしてはいけないので、運転免許証を返上しなければならない。免許を返上したとしても、松山は路面電車を使って移動ができる、買い物も便利だ、病院にも行きやすい。そういったことから今、お城の周りのマンションに住む高齢の方が多くなっていると聞いています。
  「アエル松山」のオープンで知りました。ビルの1階、2階はテナントが入りやすいのですが、その上の階になると集客は少し難しくなる。30年後の日本というと、より高齢化が進んでいます。高齢化すると、医療・介護がより必要になります。ビルの3階・4階を、医療・介護のスペースに充てるというのはどうでしょうか。中心市街地に住まう人が増えてきますので、地価の比較的高い中心市街地ですから、高度利用になります。一軒家ではなくて、マンションの形でしょう。大街道、銀天街は、アーケードがありますから全天候型といえます。雨が降っても風が吹いても、暑くても寒くても、快適な場所です。歩いて買い物に出かけられます。
 ここである試算をご披露します。20歳以上の日本人が、毎日3000歩、距離にすると約2キロを、今より多く歩いたとすると、糖尿病、心筋梗塞、脳卒中などが起きにくくなり、年間で約2700億円の医療費を節約できるという試算です。私は、とにかく皆さんに、健康になっていただきたいと思っています。

 中心市街地に住まう人が多くなると、店舗で扱うものは、食料品ですとか、生活雑貨、日々の暮らしで使うもののウェートが高くなっていくので、そういうお店も必要になるでしょう。中心市街地のそばに、堀之内がある。暖かくなると梅が咲く、桜が咲く、秋になると紅葉する、季節の移ろいが感じられます。季節の様子を見に行くと、自然と歩いて、健康になる。さらに、健康も考えて、松山城にも登ってもらいましょう。
 それでは、ウォーキングのコースをイメージしてみましょう。堀之内をスタートして、まもなくリニューアルの花園町通り、まつちかタウン、銀天街、大街道。銀天街と大街道は、合わせて1キロちょっとです。そのまま進んでいくと、綺麗になったロープウェイ街、平和通りは俳句の街らしく句碑がいっぱい。ひめぎんホールを北に曲がると、もうすぐそこは道後。川の流れと石畳の「にぎたつの道」を通ると、そこは道後商店街。そして、商店街を抜けると、道後温泉本館。堀之内から道後温泉本館まで、これで、およそ4キロ。約1時間のウォーキングコースです。道後温泉に入って汗を流して、帰りは路面電車で戻ってくるのも良いでしょう。
 おじいちゃん、おばあちゃんだけでずっと居るのではなくて、街が楽しいと子ども達もやってきます。同居も良いですし、近くに住む「近居」も良いですね。子どもや孫と疎遠になるより、同居や近居。
 「少子高齢化」です。言い換えると、働いて税金を納めてくれる人は減っている。高齢になって、お世話になる人は増えている。松山の特徴を生かした、コンパクトなまちづくりが必要です。
 私は、松山の中心市街地が2050年にはこうなっていればなぁという夢を持っています。
 ただ、まちづくりは、行政だけでやるものではありません。皆さんと一緒にやるものです。皆さんにも知恵を出していただいて、松山の中心市街地活性化をみんなでやりませんか。松山城を見ながらの日々、堀之内の散歩、全天候型のアーケード商店街で買い物、公共交通を生かしたまちづくり。30年後、2050年を見越しながら、みんなで「コンパクトなまちづくり」、「歩いて楽しいまちづくり」、「歩いて健康 まちづくり」をやりませんか。最も「松山の特徴」を「松山の宝」を生かせるまちづくりだと私は確信しています。

 もちろん、これは、中心市街地以外、郊外に住まう事を否定するものではありません。松山は北部にも、南部にも、東部にも、西部にも、素晴らしい地域資源があります。また、そんな地域を結ぶ、郊外電車、バス、JRがあるのも松山の特徴です。
 1つだけ挙げます。松山の西部、三津浜では、住民が主体になって地域資源を磨き、まちを元気にしています。具体的には、食文化のブランド化を推進するため、去年の2月に「えひめご当地こなもんサミット」をアイテム愛媛で開催しまして、2日間でなんと約17,000人の来場がありました。
 夏、7月から8月の土曜日には、地元の団体が水産市場で「シーフードバーベキュー」を開催しています。予約で200名の定員が満席、最終日には500名の予約希望がありました。大好評になっています。
 三津浜にぎわい創出事務所「三津ハマル」では、空き屋や古民家などの情報を基に「町家バンク」を作り、所有者と入居希望者のマッチングをしています。平成25年から平成27年末で、14件がマッチングに成功しました。
 ここで他県になりますが、熊本市の「上乃裏(かみのうら)通り」というところをご紹介します。実は20年ほど前までは、老朽化した民家が立ち並んで、人通りも少ない路地裏でした。しかし、今では、100軒以上の町家が再生され、活気ある商店街に生まれ変わっています。
 こちらの民家なんですが、この古民家、実はケーキ屋さんなんです。かつての繭蔵(まゆぐら)を改装したお店です。
 次の写真は、町屋を改装したレストランです。
 そして次の写真は、築100年以上の比較的大きな旅館を6つのテナントが入る商業施設に改装されました。
 地元三津浜でも昨年11月、古建築を改装した「三津浜ハンドメイドマーケット」がオープンしました。
 これは大正時代に建てられた産婦人科なんですが、これを改装して、「小さなデパート」として12部屋を1部屋ずつ貸し出しています。
 ご覧のように、皆さん、まちづくりというのは継続して進んでいくこと、継続して取り組むことが大切です。

 今年も皆さんと一緒にまちづくりがしたいと思っています。私は、現地・現場を大切にする、そして、市民目線を大切にしてまいります。困難なことに出会っても、前向きに。「幸せ実感都市 まつやま」を目指していくこと、そして、今年も誠実に仕事を積み上げていくことを、私、野志克仁、皆さんにお誓いし、新年にあたってのご挨拶とさせていただきます。
 今年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

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