平成22年12月28日 平成22年仕事納めの式における市長挨拶

更新日:2012年3月1日


 それでは、平成22年の仕事納めの式にあたりまして、ご挨拶を申し上げます。

 職員の皆さん、まずは1年間、本当にお疲れ様でした。この1年1年、1カ月1カ月、1日1日の積み重ねが本市の発展に大きく寄与していることは言うまでもありません。

 さて、私が市長に就任させていただき、1カ月が経とうとしております。本当にあっと言う間の1カ月でした。また、同時に非常に充実した1カ月でした。改めて、52万市民のために仕事をさせていただけることへの感謝の気持ちと、職務の重責を痛感しております。

 ここで、市長としての、1カ月を振り返ってみたいと思います。まず、11月30日の初登庁以来、多種多様なイベントなどに出席をさせていただきました。そのどれもが市民の皆様の活気に溢れ、そして逆に私がパワーをいただくような状況でありました。また、今月の10日には松山市定例議会が開会し、市長の立場として初めての議会に臨みました。議員の皆様とは今後も大いに議論を深め、何が本当に市政の発展のためになるのか、共に考えてまいりたいと思っております。私は市民の皆様の生活を第一に考え、より良い松山のため、そして、より良い市民の皆様の生活のために全力を尽くす所存であります。

 さて、地方行政においては、住民のニーズが多様化・高度化する中で、特に社会保障の経費が激増していることから、地域経済の活性化が強く求められるなど、本市を取り巻く社会経済の環境は、これまで以上に厳しい局面が憂慮されています。こうした中、真の地方の時代を確立するためには、これまでの中央集権的なメニュー選択型の行政から脱皮をし、地方の個性を活かしたまちづくりを進めることが必要であり、政策立案機能の強化や職員の能力向上を一層図るとともに、事業評価などによる事務事業の見直しや歳入の増加策にも積極的に取り組むなど、徹底した行財政改革が必要不可欠です。そのため、未だ国の定年延長に関しての制度設計は明らかになっておりませんが、本市においては、能力や実績主義に基づく昇任・昇格や、再任用フルタイム職員の配置などの取り組みを、定年延長に備え既に行っているところであり、今後も市民の理解と納得を得られる少数精鋭の効率的な組織の確立のため、引き続き不断の改革を進めてまいります。そこで、時には職員の皆さんに対し、厳しい提案をするかもしれません。しかし、それは全てにおいて市民の皆様、「1人でも多くの人を笑顔に」するための提案であります。就任式の訓示でも申し上げましたように、市政、言い換えればまちづくりにおいては、市民の皆様が主役です。私は自らが必要性ややりがいを市民の皆様に問いかけていき、市民主役のまちづくりを先頭に立って追い求めてまいります。職員の皆さんも、再度この方針を心に刻んでいただき、1人でも多くの人に笑顔を持っていただけるように職務に専念してください。

 では、ここで本市のこの1年を振り返ってみたいと思います。まず、国においては大きな変化のあった1年でもありました。7月には参議院議員選挙があり、結果として衆参両議院で与野党のねじれ現象が発生し、現在でも法案の審議などに少ならからず影響が出ております。また、国の制度にも大きな変化がありました。その代表的なものが、4月にスタートした「子ども手当」です。この制度は、法律が施行されてから実施までの期間が短く、その準備が慌しかったことに加え、海外の子どもへの支給などの要件について、十分な議論を尽くさないまま導入されました。まさに混乱を持ってのスタートであったと思っております。他の多くの自治体からは「6月の定期支給までの準備期間が短すぎる」という声があがったように私も聞いております。本市では、4月末までの申請については全て6月の定期支給で対応ができ、それ以降の申請についても8月に臨時支給をすることで、ほとんどの対象者に支給できたことは大変よかったと私も感じております。来年度の子ども手当の制度につきましては、財源確保の問題から、支給額の上乗せや所得制限などをめぐり、現在閣内でも混乱が生じているようですが、制度改正にスムーズに対応できるよう、関係部署の方は今後も情報収集に努めて欲しいと思っております。私からも、全国市長会などを通じて、全額国庫負担とするなど、地方の意見を要望してまいりたいと考えております。

 このように国の混乱が、そのまま地域にもたらされることもありました。その一方で、松山においては、市民の皆様に元気を与える多くのイベントが開催されました。幾つかご紹介をいたします。

 1つ目は、4月から10月、半年間にかけて、松山沖に浮かぶ9つの有人島を中心に開催された「松山島博覧会」、通称「しまはく」です。平成17年1月の合併に伴い、旧北条市及び旧中島町から7島が加わり、美しい自然に囲まれた個性豊かな島文化を味わうことができる有人島9島を擁することになりました。その一方で、島嶼部においては、過疎化・少子高齢化による人口減少が急速に進みまして、基幹産業である柑橘を中心とした農業や漁業の低迷などによって活力の低下が進んでいる状況となっております。私も当時、取材者の立場として何度も島を訪れ、その実感を得てまいりました。このような状況のもと、「島を元気にしたい」という地元の皆様の思いが発端となって、島民の方々が主体となって取り組む『しまはく』の開催が決定いたしました。各イベントが、恵まれた自然や豊かな農水産物、歴史・文化などといった島特有の宝を有効活用し、島の方々が主体となって独自の発想と工夫によって作り上げた魅力あふれるものであり、何よりも島の方々が「自分たちの愛する島をどうにかして元気にするんだ」という強い想いを持って、ただひたすら前向きに取り組んでこられたからこそ大きな成果を挙げたと私は考えております。10月末にエンディングを迎えたわけでありますが、「しまはく」はあくまでも多くの方々に島の魅力、宝を知ってもらうためのきっかけづくりであり、これを決して一過性のものにせず、「しまはく」を通じて生まれた取り組みを継続していってこそ、これが真に重要なものであると私は考えております。

 2つ目は、スポーツイベントの開催です。特に野球の分野におきましては、坊っちゃんスタジアムが開場10周年という節目の年であり、これを記念して数多くの熱戦が松山で開催されました。4月の東京ヤクルトスワローズ 対 読売ジャイアンツの2連戦を皮切りに、8月には萩本欽一監督率いる茨城ゴールデンゴールズ 対 地元松山フェニックスの一戦、また、本市が交流を深めております台湾との野球交流を通して、中学生の日本代表 対 チャイニーズタイペイ代表など多くの試合が開催されました。なかでも8月28日の東京六大学野球オールスターゲームにつきましては、六大学野球史上初となる現役選手によるオールスターゲームという特別な試合を松山において開催することができ、選手のプレーはもちろんのこと、各大学の応援団やチアリーディング部も駆けつけていただき、本場、神宮球場さながらの雰囲気が感じられ、多くの市民の皆様に楽しんでいただけたのではないかと思っております。

 もう1つ、「ことば」が持っているパワーを改めて感じさせられた「だから、ことば」大募集です。7月から9月にかけて10年振りに「ことば」の募集を行いました。前回を上回る、なんと12,200点もの応募をいただきました。現在、来年の2月に予定している最終審査の発表に向けて準備を進めているところです。今回の募集にあたっては、人と人とを結ぶ「絆」をテーマにしたこともあって、どの作品もほっとするような温かみや癒しを感じさせることばが続いています。私は改めて「ことば」が持つパワーに驚きを感じています。今後とも、1人でも多くの人が笑顔になっていただけるように、「ことば」を核とした様々な事業に特に力を入れて取り組んでまいりたいと考えております。

 また、本市ではイベントだけでなく、市民の皆様の生活環境の向上のための事業、市民サービス向上のための事業も積極的に展開してまいりました。幾つかご紹介いたします。

 まず、環境においては、地域の特性を有効に活かした「松山サンシャインプロジェクト」を立ち上げ、太陽エネルギーの活用を核に様々な温暖化対策に取り組んでおり、またソーラー関連企業の集積・拡大支援など、国や他の市に先駆け、環境と経済が調和するまちづくりに努めております。

 都市整備においては、平成16年度から取り組んでまいりました城山公園堀之内地区第一期整備が昨年度末に完成し、記念事業として松山で初めてとなる「流鏑馬(やぶさめ)」を4月に開催し、多くの市民の皆様に楽しんでいただきました。新しく生まれ変わった堀之内は、「松山版セントラルパーク」です。日常の公園の利用の他にも、真夏の祭典「松山ピースフェスティバル2010」、「城山公園オータムフェスティバル」、そして「愛媛マラソン」の主会場となっております。この整備の完成により、城山の豊かな緑を中心として、堀之内から坂の上の雲ミュージアム、また、新たな街並み景観に様変わりしたロープウェイ街へと、点や線ではなく、面として一体となった『坂の上の雲』フィールドミュージアム構想におけるセンターゾーンを大いに活用し、市民の皆様はもとより訪れる観光客にも、新たな松山の魅力を十分に堪能していただくとともに、併せて中心市街地への活性化へとつなげていきたいと思っております。

 また、もう1つ。観光面においては、全国初となる小説を題材とした『坂の上の雲』のまちづくりを推進してまいりました。その上で、観光客の誘致にも積極的に取り組み、なかでも修学旅行の誘致では、元来の資源を磨き上げるとともに、周辺の地域へも働き掛けることなどにより、その認知度と評価を高め、以前は修学旅行生を殆ど見ることのなかったこのまちも、今では40校を超える勢いになりました。これは職員の皆さん、本当に胸を張っていいことだと思っております。また、『坂の上の雲』の主人公たちのゆかりの地、また、ドラマのロケ地などにも積極的に働き掛け、代表例とされる横須賀市とは集客パートナー都市協定を締結し、首都圏プロモーションの拠点と市民間の交流の仕掛けが同時に確立したことは画期的であると思っております。また、海外からの観光客の誘致においても、台湾台北市松山区との観光交流事業の成果によって、光が見えてきたものと認識しております。今後の観光面においてですが、基本的にはこれまでの誘客戦略、手法、ネットワークを継承した上で、愛媛県や広島地域との連携に基づく、瀬戸内海の魅力を最大限に生かした回遊型商品の開発と交通動線の活性化などにも挑戦し、私も積極的にトップセールスを行い、観光地 松山 のブランド化とさらなる集客に努めてまいりたいと考えております。私は先日、東京に出張に行ってまいりました。その中で、国の機関に数多くご挨拶をさせていただきましたけれども、松山の『坂の上の雲』のまちづくり、大変国の中でも名前が通っております。「松山、元気な土地ですね」、「元気な地域ですね」と国の方々に多数声をかけていただきました。これは皆さんが、これまでもですが、今年1年間、1日1日を積み重ねてきたその成果だと思っております。良いことはしっかりと前向きに振り返ってまいりたい。これは皆さん、一緒に胸を張りたい事柄であります。

 そして、やはりこの話を外す訳にはまいりません。水の問題であります。現在、冬の到来に伴って、水需要は比較的落ち着く時期を迎えております。本市の水源である地下水は平年並みを保っております。しかし、もう一方の石手川ダムは、秋口の台風の降雨に恵まれなかったことから、平年値を大きく下回っております。今日現在の貯水率、67.1パーセントであります。農業団体の皆様には、先月の末から自主的に取水を削減していただくなど、市民の皆様の生命線である水道に支障が生じないよう、関係者の努力が続けられていることは、あまり知られておりません。水問題の根本的な解決には、まだまだ時間が必要です。現在、西条の県営黒瀬ダムで利用されていない水を分けていただけるよう全力を尽くしておりますが、それぞれの水には、先人がいにしえから培ってきたそれぞれの歴史があるように、この問題は大変デリケートな側面があり、本市の都合だけで思うように進めることはできません。今後は、9月に設置された「水問題に関する協議会」において、必要な検討が進められることになっておりますが、職員の皆さんも本市が置かれているこうした状況を十分に理解したうえで、それぞれの部署においてさらなる節水などできることから、是非取り組んでいただきたいと思っております。

 最後に、皆さんに申し上げます。私の市長としての仕事は個々の問題に対し、市民をまず第一に考え、日々決定を下すこと。また、松山をどんなまちにしたいのかというビジョンを皆様に示すことであります。ビジョンとは、一度言ったぐらいでは皆様にしっかりと伝わるものではありません。私は松山の皆様に、しっかりと心に届くまで何度でも何度でも申し上げます。私の公約のキャッチフレーズは「1人でも多くの人を笑顔に 全国に誇れる、わがまち松山」であります。大きな7つの公約、皆さんと一緒に振り返ってまいりたいと思います。

 「「誇れる」行政サービスで笑顔に」、「「誇れる」ことばで笑顔に」、「「誇れる」まちの安全・安心で笑顔に」、「「誇れる」子育てで笑顔に」、「「誇れる」福祉・医療で笑顔に」、「「誇れる」まちの長所を活かし笑顔に」、「「誇れる」地域の宝を磨き笑顔に」であります。

私はこの公約の実現のために、身を粉にして市政の先頭に立ち邁進してまいる所存であります。私も国や県に対して言うべきことは、しっかりと申し上げてまいります。そこで、職員の皆さんは、できない理由を探すより、できるにはどうしたらいいのか、すなわち、できない理由ではなく、できる方法を共に考えてください。固定観念にとらわれない、自由で、スピード感のある発想を共に持ってください。後ろ向きな精神からは何も生まれません。職員の皆さん全員が、およそ3,400人の皆さん全員が前向きに考えること、前向きに進むこと、これが市政全体の底上げにつながります。ひいては「1人でも多くの人を笑顔に」することにつながってまいります。

 そのためにも、職員の皆さんが心身ともに健康であること、そして安らぎのある家庭を築いていくということが大切であります。本当に1年間、お疲れ様でございました。明日からは十分英気を養っていただいて、そして来年に備えていただきたいと思っております。それでは皆さん、よいお年をお迎えください。1年間、本当にお疲れ様でした。

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