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03 グラフィックデザイナー / アートディレクター 松本幸二
「クライアントの気に入るもの」ではなく、「消費者が買ってくれるもの」を創る
株式会社グランドデラックス代表取締役。大学卒業後、東京のデザイン事務所を経て2005年に独立。「デザインのチカラで、コミュニケーションを円滑に。」をコンセプトに、商品や企業のブランディングをはじめ、数多くのロゴやパッケージデザインを手掛ける。CCE Awardグランプリ(10/11/12/13)・佐藤卓賞・新村則人賞、日本タイポグラフィ年鑑ベストワーク賞など国内外デザインアワードで評価を得ている。
株式会社グランドデラックス
愛媛県松山市三番町5-13-10 4F
□ TEL 089-907-1511
□ MAIL matsumoto@grand-deluxe.com
□ URL http://grand-deluxe.com
□ 業務内容 ブランディング、ロゴ、パッケージ、
SPツール、広告デザインなど
Q デザインの仕事をしようと思ったきっかけは?

大学4年生の頃、就職を考えるようになり、デザインをやってみたいと思い始めました。ただ全く専門知識はありませんでしたし、大学で専攻していた学部とも接点のない分野だったので独学で学びました。初めに入った会社ではエディトリアルデザインを主体に基本を勉強させてもらい、1年後に「もっと多くのことを学びたい」と思い上京しました。ツテとかコネとかもなかったのですが、「ただただデザインの仕事がしたい」という想いで単身東京へ行き、家を決めて、就職先を探して…。
この職業を志した当初から「いつかは独立しよう」と思っていましたし、主体的に仕事がしたいと思い、東京から戻ってすぐに起業しました。松山を選んだのは、環境が好きだったことと大学時代が愛媛だったので、少し土地感があるという安心感がありました。

Q 松山での仕事はどんな流れで依頼されるんですか?

はじめは知人に紹介してもらう事が多かったですね。もちろん東京時代からのクライアントも引き続き取引があったので、映画のDVDパッケージなどをやらせてもらいつつ、徐々に松山の仕事も増えていったという感じです。はじめて松山で受けた仕事で、自分のなかで大きな存在だったのは愛媛FCさんのポスターですね。独立したのは2005年の9月なんですが、2006年1月にこの仕事をいただきました。愛媛で仕事をスタートして間もなかったので、とてもやりがいを感じました。
イレギュラーなルートからのお仕事は、「ぞっこん四国」さんでしょうか。当時、愛媛銀行さんの感性価値創造推進室が主体となり「デザイナーと企業をマッチングして、商品価値を上げていこう」という取り組みが行われていて、その一環で声をかけてもらいました。まずパッケージのリニューアルをさせていただくことになり、それに伴ってポスターやフライヤーなどを展開していったのですが、先方からは「思うようにやってみてください」と、ほとんど任せてもらいました。本当に有難いことでしたね。

Q ブランディングに際して一番大切にされていることは何ですか?

商品に関して言うと、全体を引っ張っていけるような「核となる強いビジュアル創り」に力を注ぎます。ひとつの文字の書体であるとか空間の取り方であるとか、本当にちょっとした事なんですけど。その集合体がどう見えるかというのは一番大切にしますね。消費者にとっては一番近くにあり、物理的にも手に取るものなので、これ自体が広告塔になっていくように意識します。
また、パッケージの仕事に取り組むならまずは売り場に足を運んでみて、それがどんな風に並べられるか、競合にはどんな商品があるか、それらがどんなデザインなのかを調べます。水なら水、お菓子ならお菓子の空気感とか色づかいというものがあるので、それをまず意識しながら考えます。業界のデザインの流れに乗ればいいところは乗るし、もちろん乗らない場合もありますね。例えば「ぞっこん水」でしたら、やっぱり水というブランド上、清涼感が必要になってきますよね。そのため白や水色…という配色は譲れないんです。で、もちろんそれは他の商品にも当てはまることなので、売り場に行っても白とか水色は多い。あとは山のイラストがあったり。だから色味とは違った部分で「ぞっこん」のイメージを印象づけるデザインが必要だったんです。それで「水といえば何だろう…?」と考えた時に浮かんだのがこの雫のシルエットでした。イメージにも残りやすく、清涼感も出るひとつのイメージでした。

Q 商品の属性やマーケット全体のデザインも意識してリサーチするんですね。

そうですね。ただリサーチといっても調査専門の会社にお願いして…といったものではなく、どちらかというとデザイナーとして直感的に感じることを落とし込んでいくという意味のリサーチです。やはり経験を積むごとに、直感的に見える部分があります。論理的にやりすぎても上手くいきませんしね(笑)。パッケージはビジュアル作りなので、想いが強くないとできません。その中でも商品研究には一番時間を割きます。実際にいざ制作する時間というのは、そんなに長くないかもしれません。
もちろん、日常的に業界の情報を収集しておくのはデザイナーとして大切にしている部分ですね。僕の場合はそれが趣味とも言えるかもしれませんが、デザイン関連の雑誌や書籍のチェックはもちろん、海外の優れたデザインを見たり、東京や県外のデザイン展にも出かけます。「いいな」と思うデザインを見ると仕事のモチベーションも上がりますし、常にアンテナを張って吸収しておくことで、自分の引き出しが増えるのはもちろん、仕事をする上でも大いに役立ってくれます。東京では常に最新のデザインが人の目に触れていて、既にそれが普通になっているのに、地方では日々の業務に忙殺されていて、なかなか情報収集ができないという場合が多いと思うんです。そうなると流れも把握できませんし、どうしてもデザインのテイストも同じ感じになってしまいます。東京と地方のデザイナーの差を強いて挙げるなら、情報量の差かもしれませんね。

Q 愛媛だからやりやすいこと、逆にやりにくいことは何ですか?

メリットは、クライアント(担当者)と直接仕事ができる点ですね。決定権を持っている方と直接やり取りができるということは、こちらが思うデザインの意図やコンセプトを伝えやすいんです。どういう事かと言うと、例えばクライアントから「もっと字を大きくしたい」と要望があった場合に「どうして大きくしたいのか」という真意を直接聞けますし、逆に「どうしてこのサイズなのか」を伝えることができます。「クライアントの気に入るもの」ではなく、「消費者が買ってくれるもの」を創るという視点で話ができるんです。
難しい点を挙げるとすれば、デザインの力を信じてもらうことでしょうか。やはりそれは、結果としての実感値がなければ浸透していかないことですし、やる前から想定ができる部分ではないのでなかなか難しいですね。ですが逆に実感してもらえたことで、新たなデザイン展開が生まれた例もあります。株式会社カラーズヴィル(西条市)さんの仕事では、デザインを変えることで、消費者に新しい使い方を提案し結果的にマーケット自体を広げることができました。お客さんから「売れた」と言われたり、デザインによって商品の価値が視覚化され、市場の反応が変わったことを実感できた時はとても嬉しいですね。

Q 今後やってみたいことはありますか?

ミカンや、じゃこ天、といった愛媛や松山を代表する特産品などのパッケージを手掛けてみたいですね。愛媛では、せっかくすごく良いモノを作っているのに売り方がもったいない…という物が多くあると思うんです。それをデザインの力で人に届くものにするお手伝いをしたいですね。
KOJI MATSUMOTO WORKS
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株式会社カラーズヴィル LIGHT GAUZE MUFFLER パッケージ/2013   四国乳業株式会社 めざましプレーンヨーグルト パッケージ/2012
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株式会社himari ほほえみプリン パッケージ/2012   三洋興産株式会社 媛香蔵 パッケージ/2011
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松山市 瀬戸内・松山 食べ巡りプロジェクト ロゴ/2013   株式会社一六本舗 竹の里 ポスター/2012
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株式会社ぞっこん四国 ぞっこん パッケージ/2011