腸管出血性大腸菌感染症に気をつけましょう

更新日:2022年4月20日

関東地方を中心に腸管出血性大腸菌O157による感染症報告が増えています。

 厚生労働省が実施した平成29年8月の感染症発生動向調査によると、腸管出血性大腸菌O157の患者数は例年よりも多く、O157を原因とする食中毒事件も発生しており、関東地方を中心に感染者が増加しています。また、国立感染症研究所で行った検査の結果、関東地方で発生しているものと同一遺伝子型のO157が複数の自治体で散発的に検出されていることが分かりました。
 腸管出血性大腸菌は非常に少量でも感染するため、接触状況によっては人から人に感染することがあります。手洗いを中心とした衛生管理を徹底し、感染予防に努めましょう。 
 また、食中毒予防の三原則(菌をつけない・菌を増やさない・菌を殺菌する)をしっかり守って、食中毒を予防しましょう。 

腸管出血性大腸菌について

腸管出血性大腸菌とは?

 大腸菌は、家畜や人の腸内にも存在します。ほとんどのものは下痢の原因になることはありませんが、このうちいくつかのものは、人に下痢などの消化器症状や合併症を起こすことがあり、病原大腸菌と呼ばれています。病原大腸菌の中には、毒素を産生し、出血を伴う腸炎や溶血性尿毒症症候群(Hemolytic Uremic Syndrome、HUS)を起こす腸管出血性大腸菌と呼ばれるものがあります。
 腸管出血性大腸菌は、菌の成分(「表面抗原」や「べん毛抗原」などと呼ばれています)によりさらにいくつかに分類されています。代表的なものは「腸管出血性大腸菌O157」で、そのほかに「O26」や「O111」などが知られています。
腸管出血性大腸菌は、牛などの家畜や人の糞便中に時々見つかります。

感染経路

 感染経路はほとんどの場合、経口感染です。主に次の2つが考えられています。

  • 動物や患者の糞便に含まれる菌が直接または間接的に口から入った場合
  • 菌に汚染された飲食物を摂取した場合(※)

※これまで国内で原因食品等と特定又は推定されたものは、井戸水・牛肉・牛レバー刺し・ハンバーグ・牛角切りステーキ・牛タタキ・ローストビーフ・シカ肉・サラダ・カイワレ大根・キャベツ・メロン・白菜漬け・日本そば・シーフードソース・ユッケ・冷やしキュウリ・キュウリの和え物などがあります。
 
 腸管出血性大腸菌は非常に少ない菌数でも感染すると言われていますが、職場や学校で話をすることや、咳・くしゃみ・汗などでは感染しません。
 誤った知識から腸管出血性大腸菌の患者さんなどが差別や偏見を受けることのないように気をつけましょう。
 

潜伏期間

およそ2日から9日(多くは3日から5日)といわれています。

主な症状は?

 全く症状がないものから軽い腹痛や下痢のみで終わるもの、さらには頻回の水様便、激しい腹痛、著しい血便を起こすものまで様々です。
 これらの症状があった人のごく一部に溶血性尿毒症症侯群(HUS)や脳症などの重症合併症を発症し、時には死に至ることもあります。激しい腹痛と血便がある場合や幼児や高齢者が感染した場合には重篤合併症を引き起こしやすいので特に注意が必要です。

 症状がないにもかかわらず便から菌が検出される場合もあります。こうした人を「無症状病原体保有者」といい、本人に症状がなくても他の人にうつす可能性があります。

予防のポイント

個人の衛生管理

  • 動物の糞便には触れないようにしましょう。また、動物とはキスやなどの過剰なふれあいは避けましょう。
  • オムツ交換等の便処理は決まった場所で行い、使用済みオムツはすぐにビニール袋に入れて捨てましょう。
  • 下記の場面など必要なタイミングで、石けんを使用し手洗いを十分行いましょう。

 (手洗いのタイミング)

  • 動物をさわった後
  • トイレの後
  • オムツ交換など便の処理を行った後
  • 調理を行う前
  • 生肉をさわった後
  • ご飯を食べる前
  • 下痢や腹痛等の症状で体調不良が続く時は、早めに医療機関を受診しましょう。

食品の衛生的な取り扱い

  • 未加熱で食べる野菜などはよく洗い、食肉は中心まで十分に加熱してから食べましょう。
  • 加熱調理済の食品が二次汚染を受けないよう、調理器具は適時洗浄・殺菌しましょう。
  • 調理や飲料に使用する水は、水道水か水質検査を受けた水にしましょう。
  • 食品を直接取り扱う仕事に従事する方は、日頃から体調管理・感染予防に努め、定期的な便検査の実施を推奨します。

 ※このほか、次の「家庭でできる食中毒予防の6つのポイント」を参考に、家庭での食中毒予防に努めましょう。

万一感染した場合の注意点について

 万一感染した場合には、患者と同じ飲食物を摂取した家族等が同時に感染していないか、あるいは患者から家族等の同居者へ感染していないかを確認する必要があります。それと同時に必要な範囲で家庭内の消毒を行います。
 これらのことは保健所の職員から説明がありますので、不明な点があればご質問ください。

制限について

  • 患者が食品関係の従事者である場合には就業制限がかかることがあります。
  • 学校保健安全法では腸管出血性大腸菌は第3種の感染症に定められており、医師が感染のおそれがないと認めるまで出席停止とされています。

二次感染の予防策

  • 家族への感染リスクを避けるため、可能であれば患者は家庭での調理や配膳を控えましょう。
  • 患者は家族の中で最後にお風呂に入り、できるだけ浴槽につからず、かけ湯やシャワーにしましょう。
  • 患者の使用したタオルは家族間での共有は避けましょう。
  • 患者の便を処理する場合(オムツ交換など)には、使い捨て手袋を着用し、決められた場所で行いましょう。使用済みのオムツは、すぐにビニール袋に入れて捨てましょう。
  • プールや公衆浴場は適切な塩素管理がされていますが、接触による感染リスクを避けるため患者は利用を控えましょう。家庭用のビニールプールの使用もやめましょう。

消毒方法

  • 手指は石けんでよく洗い、流水で十分すすぎ、水分をしっかりふき取ってから消毒用アルコールで消毒しましょう。
  • 水洗トイレの取っ手やドアのノブなど、菌の汚染を受けやすい箇所を消毒用アルコールで適時消毒しましょう。
  • 患者が使ったトイレは、清掃した後に次亜塩素酸ナトリウム液で消毒しましょう。
  • 患者の便で汚れた下着は次亜塩素酸ナトリウム液で漬けおき消毒してから、家族のものとは別に洗濯しましょう。(次亜塩素酸ナトリウムには衣服の脱色作用や金属の腐食作用があるので注意してください)

さらに詳しく知りたい方は

お問い合わせ

保健予防課 感染症対策担当

〒790-0813
愛媛県松山市萱町六丁目30-5
電話:089-911-1815 FAX:089-923-6062
E-mail:hokenyobou@city.matsuyama.ehime.jp

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