旧鈴木家住宅主屋

更新日:2021年6月29日

「旧鈴木家住宅主屋」について

文化財の区分

 登録有形文化財(建造物)

指定(登録)年月日

 令和3年6月24日 登録

所在地及び所有者(管理者)

 松山市三津一丁目 個人所有

解説

 旧鈴木家住宅主屋は、大正期に、米穀や肥料を扱う陸軍御用達の卸問屋を営む鈴木勢美吉により建設されたと伝わる。昭和38(1963)年、三津浜煉瓦社長を務めた2代重義によって内部が大規模に改築されたほか、離れなどが増築された。その後、増築部分を解体するなど大規模な改修を行っている。
 小屋組みは和小屋である。棟札や墨書は見つかっていない。
 1階平面は、北西の玄関土間が南まで通り、北側に板間、和室の2部屋、南側に水回りと和室が並ぶ。水回りと和室の欄間は、唐草紋の陶器製であり、極めて珍しい。これは、2代重義が自身の工場で特別に焼成したと伝わっている。
 建設当初は、板間は無く、西から間口3間半が店舗として利用された土間であり、東側半間の押入れ部分に階段が設けられていた。さらに東の和室は当初4畳半と東側、南側に半間の廊下であったが、昭和38年に6畳と押入れに改修している。離れに繋がる廊下、物置、便所、階段も同様に昭和38年の改築で設けられた。 
 2階は、一階に比べ改変が少なく、便所、物置、ベランダ、階段が増築された以外は建築当初の姿を保っている。旧階段上に6畳の板間を配し、西側に床を備えた座敷、その北側に4畳の和室を設け、客間として利用されたと思われる。板間の北側の3畳間、東の4畳半は家中の控えとして利用されたかと思われる。 
 外観は、切妻造桟瓦葺平入で、1階は、正面西側の店舗の開口部は縦格子に腰はモルタル仕上げに改められており、東側は縦格子で、軒は板暖簾が下げられている。2階は立ちが高く、鼠漆喰塗籠で腰はモルタル洗い出しで仕上げる。格子窓の枠と格子は共に洗い出し仕上げで、洋風の渦巻き意匠を施した袖壁も洗い出し仕上げである。伝統的な木造漆喰壁と洋風意匠や最新のモルタル洗い出し技術を駆使した正面外観は、いかにも明治末から大正にかけての自由な空気を現しており、松山でも最も先進的であった港町三津の歴史的景観に寄与している。

お問い合わせ

文化財課

〒790-0003 愛媛県松山市三番町六丁目6-1 第4別館2階

電話:089-948-6603

E-mail:kybunka@city.matsuyama.ehime.jp

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